【読書記録】「メイデーア転生物語1」「レディーズ・メイドは見逃さない」「大富豪同心11」
読んだ本の一言感想です。ポロッとネタバレしてるかもしれませんが、悪しからず。
「メイデーア転生物語1」(友麻碧/富士見L文庫)
かつて世界の中心を焼いた「紅の魔女」の末裔であるマキアが、離れ離れになってしまった幼なじみ兼従者のトールと再会するため、魔法学校で奮闘する話。
「メイデーア(俺たちの魔王はこれからだ。)」はweb版の連載中からのファンです。もちろんweb版が書籍化したときも購入しましたよ。
なので、今作における雰囲気やキャラ、設定には、初めは正直戸惑いました。しかし読み始めてしまえばさすがのリーダビリティで、ぐんぐん先を読ませます。本当にさすが……!
1巻を読み終えた今では、web版とは別ベクトルの面白さがあると思いますし(何度も読み返してしまった)、是非走りきってほしいです。
今作オリジナル(多分)のキャラクターでは、ネロ君が萌えのポテンシャルを秘めてそう。これがメイデーアではなく、彼らがマキアとトールでなかったら、ネロ君がマキアの相手役なんじゃないかと思ってたと思う……
小田さんが行方不明ということは、web版のあの展開があるということでしょうし、このマキアとトールであの展開ってどうなるんだろう……
2巻以降が大変楽しみです。
「レディーズ・メイドは見逃さない」(マライア・フレデリクス/コージーブックス)
1910年代のアメリカで、レディーズ・メイドのジェインが、仕える一家を守るため、お嬢様の婚約者(予定)殺人事件の犯人探しに乗り出す話。
これを世間ではコージーというのか……少なくとも私の中でのコージーはこういうのじゃない……
解説でも言っていましたが、当時のアメリカの世相を大変よく描写しているみたいです。無政府主義者の陰日向の活動とか、労働問題とか、資本家と労働者の対立とか移民とか女性とか。
どちらかというと社会派ミステリじゃないのかなあ、これ。
社会派ミステリだと思えば、ジェインの目を通して語られる世界の息苦しさが大変よい読みどころだと思います。
その息苦しさは話の中で改善されたりしませんし、人によっては鬱展開鬱エンドと感じると思うので、注意が必要です。私とかな。
あと、文体がもろに英文和訳調なので、気になる方は注意。私とか(略
ちなみに私は、同じアメリカ上流階級が舞台の話なら、「ミス・メルヴィル」シリーズが好きです。時代は「レディーズ・メイドは~」より随分下るし、そもそも絶版ですけども…
「大富豪同心11」(幡大介/双葉文庫)
金の力で同心になった(させられた)札差の孫の卯之吉が、知人の俳諧師を殺した犯人を探す中で、某武家の後継者問題に巻き込まれる話。
11巻の感想ですが、1~10も読んでます。
なろう系でも一定の人気がある勘違い系の話です。(シリーズ通して)
主人公の卯之吉がやる気がない性格なので、こちらとしても気を抜いて読めるのが大変楽でよいシリーズなのです が、11巻では冒頭で卯之吉がまさかの全力疾走をしていて、何事かと思いました。
が、読み進めると、やはり卯之吉は卯之吉でした…いや、いいんですけど。卯之吉のあのやる気のなさが好きなので。
勘違い系とはいえ頭は切れますし、実家の力を遺憾なく発揮した、痛快な解決でございました。
なんかもう、成長とかしなくていいので、卯之吉にはこのまま良きマンネリズムを貫いていただきたい。