kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

幻奏喫茶アンシャンテ 感想3(凛堂香)

個別キャラ感想

感想2からの続きです。

凛堂香(cv.諏訪部順一

幻奏喫茶アンシャンテ(凛堂香)

対人外国家機関GPMの情報課課長。42歳、普通の人間。

過去のとある事件により、人外との間に強く一線を引いている。人間にしては強いらしい。

 

凛堂さんは、アンシャンテ常連の中では、あえていじられ役に回る大人の余裕がある感じですね。

といってもイグニスの次に若いんだけどな。

けど、凛堂さん単品になると、己の心と仕事と信念の微妙なすれ違いに苦悩する一人の人間だなと感じました。

 

前半は、妹の起こした事件とその顛末に長い間とらわれて、頑なになっている凛堂さんの心と時計の針を少しずつ動かしていく感じで、妹さんと御門さんの過去は壮絶だけれども、そこまでヒドいことはならずに順当に進めるのでは、と思っておりました。

が、大間違いであった。

 

狂える人外と化した妹に襲われた凛堂さんが余命2日(短!)を宣告されるわ、その元凶といっていい御門さんから渡された人外化促進薬が唯一凛堂さんの命を救う手段だわ(しかし人間としては死ぬも同然)

そして琴音ちゃんが迷いながらも凛堂さんを人外化させちゃうし、イグニスルートの腕肉もぐもぐほどではないですが、「あれ、これバッドエンドじゃないよね?」とうっすら心配になりました。

 

ストーリー的には、人間と人外の間の埋めることのできない溝 とか、その溝を越えて互いに手をつなげるのか、またその方法論は、みたいな感じでした。

 

御門さんは、人外化させられてしまった凛堂妹を、多くの命を奪ってでも人間に戻すことを望み。

琴音ちゃんと凛堂さんは人間と人外のまま一緒に生きていくことを選択した。

という対比なわけですけども、異形にこそなれ、人間だったときに近い容姿と理性を保っている凛堂さん。

一方、全く人間だった頃の面影がない上に暴走・殺戮をさせないためには毎日薬を投与して活動を止めなければならない、そして食事として人間の血を与えねばならない凛堂妹。

を同じ土俵の上に上げるのは、ちょっとフェアじゃないんではないかと思いました。

もし、凛堂妹に人間だった頃の理性が残っていれば、御門さんもここまで罪に走ることはなかったのではないでしょうか。

逆に、凛堂さんが凛堂妹みたいな血を求める化け物になってしまっていたら、琴音ちゃんは一体どうしていたんだろうな。

 

凛堂さんは人間ですので、さすがに凛堂ルートは異世界探訪記ではありませんでしたが、ある意味GPMが異世界的な……

 

人間と人外はどう違うのか、みたいな話でしたが、本当にどう違うんでしょう?

対人外機関を名乗っている以上、少なくともGPMでは人外の定義を定めているはずですよね。

異世界関係なく、地球上には人間以外の生き物がたくさんいるわけですが、それと第2種・第3種人外の違いは何なんだろう。

凛堂さんは人と人外の違いについて、見た目や寿命が違う、とか、基本的な考え方が違う、みたいなことを言っていましたけど、それだと普通の動物等と人外が区別できないんですが……

 

人外化促進薬なるものが存在するからには、人間のどこをどう変えれば「人外」となる、というのをGPMの公式見解として持っているはずですよね?

人外化促進薬を飲まされた凛堂さんは、「体が作り替えられていっている感じ」みたいなことを言っていましたが、その「作り替え」のゴールを設定しないと薬作ったりできないですよね。

凛堂さんの場合は、凛堂妹の血をベースにした薬を飲まされたので、「作り替え」のゴールは彼女なのかも知れないですけど、そもそも凛堂妹も人外化促進薬飲まされて人外化してるんですよね……

それとも、機序とか関係なく、「小人地獄」(「名探偵に薔薇を(城平京)」より)みたいな、呪術領域で効く薬なんですかねえ……

 

GPM第2開発室の人間を人外化させる研究って、どこまで了解を得てやってるんでしょうか。

国家機関なんだし、ちゃんと所管の省庁に説明できる研究内容じゃなければ、予算つかないんじゃないかと思うんですが。

凛堂妹が人外化したのが20歳の時。作中での扱いからして、当時既に新入職員ではなかった模様。年齢的に高卒で就職したんでしょうか? 一般的に研究職の採用って、学歴要件や研究実績が必要なもんだと思っておりましたが……まあ研究は研究でも人外の研究だから、学歴要件とかないのかな……それとも飛び級でもしたんでしょうか?

御門さんが、現在29歳で、開発課長。22歳当時も開発課長。天才ぶりを買われて昇進した先が、第2開発課のヒラ研究員(少なくとも課長ではない)。天才の割に7年間も昇進なしで、昇進したと思ったらヒラ研究員って……それって一般的に降格っていうんじゃ……

GPMが不可解な組織過ぎる。

 

恋愛面では、凛堂さんを人外化させてしまった苦悩と後悔を乗り越えて、琴音ちゃんが必死に凛堂さんに向けた言葉と思いが良かったです。

自分の元から離れて行ってしまいそうな凛堂さんを琴音ちゃんがつなぎ止めようとするエピソードで、私は琴音ちゃんが「結婚してください!(法的に拘束)」とか言い出すんじゃないかと思っておりましたが、普通に「付き合ってください」でしたね……なんか、心が汚い大人で済みません……

 

琴音ちゃんと凛堂さんのキスシーン(薬の口移しを除く)のスチルが、いずれも凛堂さんの異形側の横顔が見えている構図なのが良かったです。

 

それにしても、最終的に凛堂さんは人外化したままとか、本当に攻めてるよな、このゲーム……

まあ私としては人間に戻らない展開の方が好みなので、でも戻らない話は少ないので、貴重さという意味でも大変嬉しい展開でございました。

 

キャラクター達の名前が、阿倍、御門ときたら、狐のくーちゃんは葛の葉かと思いましたが、なんか違いましたね……

 

それにしても、イグニスルートをプレイした後だと、ご飯もぐもぐしているイグニスが心配になるな。

 

 


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