オランピアソワレ 感想2(天草四郎時貞)
個別キャラ感想
感想1からの続きです。
天草四郎時貞(cv.上村祐翔)
悩める少年。明るく人懐こいが、どこか一線引いている。
海の向こうの異界より流れ着いたマレビトであり、「緑」に帰化している。
「天草四郎時貞」って、名前だけ借りて、歴史上の人物のエッセンスを何となく雰囲気作りに利用している感じなのかなーと思っていた。
が、本当に益田君本人の設定だったでござる。
初回プレイ時からずっとマレビトの設定が疑問でした。
四郎君は天供島の歴史の中で、5人目のマレビトということですが、先の4人が全員生存(っていうか)しているんですよね。つまり、マレビトって不老不死なんでしょうか?
しかし、天草四郎時貞ルートで、四郎君に対して「あなたもいつか老いる」みたいなことを言っている人が。一体どういうことなのかと思っていたら、慈眼大師と道摩大師は、異界にいたときの修行によって得た力により不老長生を保っているらしいです。
……な、なるほどな?
つまり、マレビトであることそのものには大した価値はなく、流される前に得ていた知識や技術がものを言うということなんでしょうかね。
ストーリー的には、四郎君が迷ったり流されたりしながら、天供島にしっかり根を張ることを決意するまで と、「橙」の長の人の心の闇について みたいな感じ。
四郎君が白夜と仲良くなるまでの過程は、璃空ルートよりも楽しく見られました。
けど、これは「天草四郎時貞」の背後に「益田時貞」がいるからだろうなという気がします。四郎君が、普通に喋ると武家言葉っぽくなってしまい、天供島では不自然になってしまうので、強いてあの子供っぽい喋り方をしているという設定とか、面白かったです。
その意味では、益田君本人設定にしたのは正解だったのでしょうね。
四郎君がマレビトとして奇跡を起こさなきゃ、と焦り始めて以降は、非常に痛々しかったです。……ということについても、益田君としての「かつてのトラウマ」で理由づけてしまえるのも、素晴らしいキャラクター性だと思います。
結局、四郎君が痛々しく錯乱する羽目になった諸悪の根源は、「橙」の長の人こと柑南だったわけで、その動機は「この世界では絶対幸せになれない」ということのようです。共犯の海浬も同じく幸せになれないそうですけど、独色の長である柑南と黄泉に捨てられた子供である海浬で共通する内容って一体どういうことなのでしょうか。
色層制度の犠牲者という意味だとしたら、海浬が独色の長である柑南に仲間意識を持っているらしいのがよく分かりませんし。
というかそもそもなんですけど、海浬って色合い的には「緑青」か「青緑」に見えるんですが、なぜ黄泉直行だったのだろう。
海浬はとりあえず置いておくとして、柑南の抱える闇の件。
バッドエンドで見せた「白」への執着が実らないこと+恐らく剥の病により生殖能力を失っていること、という意味にしては、柑南の言う「絶望の中でしか生きられない」、「自分が幸せになれない世界など壊れてしまえ」みたいな台詞が何かかみ合わないように思うんですが。というか中二病なの? セカイ系なの?
ところで、柑南と一緒になって四郎君をそそのかしていた「黄緑」の長の息子の人は、なんか途中からいなかったことになってましたけど、彼は単なる柑南の駒、無自覚ピエロだったんですかねえ?
ラストで、「島を変えたい」、「処刑の廃止を」と訴えた四郎君に対し、珠藍大姉が非常に寛容でびっくりしました。設定的にそこに触れないのは難しいとは言え、隠れてない地雷を踏みにいったなと思ったんですが。
世間知らずのオランピアに対してや、璃空ルートでのほぼ一貫した「絶対許しませんよ」な姿勢は何だったんですか、大姉。
恋愛面では、唯一最大の問題だった四郎君の年齢の件も序盤であっさり解決しておりましたし、双方微笑ましい感じで良かったと思います。
……ところで、益田君本人設定なら、既婚(という説あり)だったんでは……?
天供島に国産みの最初の御子と三貴子のうちの二柱がいるのは、どういう世界観なんだろうか。
益田君が本人設定である以上、彼らも名前だけ借りた別人(神)というわけではないのでしょうし。