Paradigm Paradox 感想8（冨司リョウ）
個別キャラ感想
冨司リョウ（cv.益山武明）
Bloomsの後方支援担当でありながら悪サイドにも通じている。しかしてその正体は、「外」の世界からのスパイ。任務のため、誰とも打ち解けない。キャンプが趣味の26歳。
「第三プラント」（＝日本列島）とか、巨大な実験場とか、「外」の世界とかの設定が出て来た時には、面白くなって参りました！ と思ったんですけど、大して活用されずに終わってしまった……
ストーリーとしては、第三プラント廃棄計画を阻止せよ！ という感じ。
害獣と超能力と上層部と研究者で回してきたこれまでのルートと違った広がりがあって面白かったです。
また、ユウキさんが受け身なだけではなく、事態を動かすために自ら積極的に動くのが良かったと思います。
冨司さんが自らの本来の立場を明かす時に、日本地図（の一部）と世界地図を示すのだが、見せられたユウキさんにはそれが何だか分からない……というのは、SF的に面白い展開でした。と思います。
……にしても、第三プラントは外部から隔離されているという設定にせよ、高校生が世界地図はともかく日本地図も分からないって、どういう教育レベルなのでしょうか。
第三プラントは、行き過ぎた文明を持った人間社会がどうなるかという実験場だそうな。そして環境悪化が行き着きすぎて、実験場としての価値を失ったため、中の人間もろとも廃棄されかけているということですが、さすがに人権どうなってんの……？ と問いたくなりました。
そもそもシミュレーションがしたいなら、わざわざ実際の人間を使うのは、人権問題をどう処理するのかもそうですが、時間と費用がかかりすぎるし非効率の極みですよね。
それに「外」は査定員（冨司さん）を送り込まないと、プラントの中の状況が分からない程度の情報収集力しかないのに、これまでどうやって第三プラントを参考にしてきたんだろうか。
まあ、つながっているらしい上層部wが報告していたのかも知れませんが、だとすると、査定員要ります……？
「第三プラント」をはじめとする新情報が出て来た時は、コロニーθ上層部や研究者の不可解な動き（害獣野放しの件とか）がこれに関係しているのかと思ったのですが、そういうことでもなさそうで残念でした。
というか、査定でマイナスになるのに、なんで上層部は相変わらず害獣を野放しにしているんですかね？
あと、害獣関係でいうと、伊吹に対「外」作戦への協力を取り付けるときに、伊吹が交換条件として害獣を生み出す研究を停止させることを出したのが非常に疑問です。
だって、伊吹は「人間より害獣の方が世界に相応しい」派ですよね？ もっと害獣を増やして欲しいんでは？
まあその「害獣の方が相応しい」派にしても、伊吹が第三プラントと「外」のことを知っている設定だと矛盾を生じるのですが。
人間が生身で生きられない環境と化しているのは第三プラントだけであり、「外」では人間が普通に暮らしているわけですから、人間より害獣の方が自然という論は成り立たないですよね。
「外」は、第三プラントのすさまじい環境汚染が「外」にまで影響することを恐れているので、上記の通り第三プラントを破棄しようとしているそうです。
……いやあの、そんなすさまじい環境汚染が、今まで「外」に影響していなかったの……？ 隔離隔離と言ってますが、実際どうやって隔離しているんですかね？ 単に鎖国的なものをしているだけではなく、物理的な手段、それこそ巨大ドームとかで内と外が遮断されているんでしょうか？ 空中も？ 海中も？
そもそもなんですが、「外」って具体的に何なのでしょう？
大国の一つ？ 国連の後継組織的なもの？ それとも世界政府？
設定に余裕を持たせるために敢えて曖昧にしているのでしょうけど（上層部wと同様）、特にSFは設定の積み重ねなのですから、はっきりと設定を出した方が説得力があると思うんですけどねえ。
恋愛面は、拒まれてもぐいぐい来るユウキさんに絆された冨司さん、と、人を突き放すような仮面の下の人柄を垣間見て惹かれていくユウキさん、という、王道で大変分かりやすい手法を使ってきたな！ と思いました。分かりやすいのはいいことですね！
まあ、色恋どころではない重大事（第三プラント廃棄計画）が迫っている状況なので、その辺はちゃっちゃと済ませたということかもしれません。
何にせよ、この尺だと、分かりやすいのは心に優しくて大変良かったです。（あと、どこが好きになったのか分からないルートが続いていたので……）
