kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

悠久のティアブレイド -Lost Chronicle- 感想1(シュド)

はじめに

突然ですが、私はSF(特に和製SF)が好きです。
別に詳しいわけでも数を読んでいるわけでもありませんが、スペオペとかサイバーパンクとかスチームパンクとかバイオがハザードしたり、あと近未来日常系とかも。そんなSFな雰囲気ってワクワクしますよね!

というわけで、「頭ぶち抜かれたぐらいで死ぬわけねーだろ」な世界観だと小耳に挟んだ「悠久のティアブレイド」。わっくわくでプレイすることにしたのでした。

攻略順はスタッフブログを参考に
シュド→アタルヴァ→ロウ→クレイドル→ヤジュル→トゥルー
です。

そんな感じで感想です。
声優さんの氏名は敬称略です。

ストーリー概要

スラムに暮らすシュドは、ある日アタルヴァという青年と出会う。シュドとアタルヴァはそれぞれの目的のために地下シェルターに向かう。そこで邂逅したのは古代人の少女イヴだった。
そこに軍が襲って来、彼らは生きるため、そして彼らの目的のためにロボット兵器・ティアブレイドに搭乗して戦うことになる。
みたいな感じ。

個別キャラ感想

シュド(cv:石川界人

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スラムに暮らす何でも屋の社長。病的に人助けが好きで、無償で仕事を請け負ったりするため、何でも屋の経営は大変苦しいらしい。
この世界の現生人類=疑似人類(工場製)。彼こそが「頭ぶち抜かれたぐらいで死ぬわけねーだろ」な世界観を体現している。
実は3,000年前の神殿騎士の人格持ち。

まさにメインヒーロー。明るく前向きで、世話焼きおかん気質なところが大変良かった。周囲が天然と非常識ばっかりの中、ひときわ輝いておりました。

というか、シュドのルートは全体的に、シュドが主役のボーイ・ミーツ・ガールでしたね。
もちろん乙女ゲームなので、ミーツしてからはイヴちゃん視点で物語が進むわけなんですが。
冒頭と後半かな、その辺は完全にシュド視点のところも多く、正直、恋愛面は手早く片付けて、敵との対決と、「地上世界の浄化」という彼の目的に注力したという感じがありました。共通ルートで既に告白まで行ってますし。

まあ、「恋愛面は手早く片付けて」とは言っても、こんな非日常な状況にたたき込まれて、みんなで目的に向かって頑張るという一体感の中、かわいい女の子に積極的に寄ってこられたら(性的な意味ではない)、そりゃ惚れるわな、という。逆にリアルではないでしょうか。

シュド君は「まさに乙女ゲーのメインヒーロー」ではあるんですが、その一方でチョロいというか、「(経験値低めの)男の子」な面もちょいちょい見られて、そのあたりで一層好感が持てました。

シュド君が主役を張る中であおりを食ったというわけでもないんでしょうが、イヴちゃんは主人公というよりヒロインちゃんという感じが強かったです。
ふわふわして無防備で好意があけすけで言動の予測が付かない、若干地に足が付いていない感じ。男性キャラ視点から見た「女の子」=「かわいいけどよく分からない生き物」というか。
一言で言うと、こういうラノベのヒロインいそうですよね。
このあたりは、多分に過去の記憶がないことによる部分が大きいのでしょうけども。

そんな感じで、方法はよく分からないけど、汚染された地上世界の浄化が可能なイヴちゃんを地上世界に連れて行くべく、シェルターの修理などにシュド達一行は奔走するわけです。その中で、イヴちゃんを狙う勢力である地上の国家(シュド達の所属する国)の軍隊が襲撃してきたり、そうこうしているうちに、浄化するとイヴちゃんがお亡くなりになるということが判明したりします。

まっすぐに地上の浄化とイヴちゃんを守ろうと信じ、決意していたところに、どちらかを得ればどちらかを失うという事実を突きつけられたり、しかもシュド自身も地上の汚染物質による病(不治・高死亡率)を発病してしまったり、そのせいでうっかり「死にたくない(=浄化=イヴちゃんの死)」と思ってしまってティアブレイドに操縦者資格剥奪されたり、その上敵に拘束されて、好きな女の子の命と引き換えに命を救われる……という、泣きっ面に蜂どころではないどん底に落とされるシュドが……いいね!

明るく前向きでまっすぐなメインヒーローであり、運命的に出会った女の子を守って敵に立ち向かう主人公でもあるシュドがたたき落とされるどん底だからこそ、ひときわ暗くて深いし、そこでシュドがもがき苦しむところが良いと思います。(イケメンの苦悩好きの意見)
まさに「落ちるときはどん底まで落ちた方がいいんです。男の子は這い上がる距離が長いほど強く素敵になりますから」(「スパイラル」結崎ひよのさんの台詞)ですね。

過去編について、昔のイヴ様(イヴちゃんとは別人格)に護衛が2名付いているのですが、そのうちの一人が「新人君」と呼ばれて、顔も仮面だかフェイスガードだかで隠れていて、もう一人のエルゼちゃんと違って頑なにパーソナリティが隠されております。
多分主要キャラのうちの誰かなんだろうなー、と思っていたら、メインヒーローでござった。耳がいい方なら、多分声で分かるんでしょうね……
メインヒーローと言っても、人格データが同じというだけみたいですが。

過去シュド、本来整備員用途の疑似人類で、戦闘チューンされていないのに、再設定なしで神殿騎士として使い物になってたんですかね?
当初想定されたスペックを超える何かを持っていたということなんでしょうか。それはそれで凄いな。

過去イヴ様の立場がよく分からない……
神殿騎士団長の妹というだけで「姫様」扱い? それとも、「姫様」扱いされる、このルートでは出てきていない理由があるんでしょうか?
12名しかいない神殿騎士団のうち2人を護衛に侍らせてるって、相当な特権階級ですよね。

同様に過去ロウの立場もよく分かりませんね。
国王の息子ならともかく、ユニオン、つまり連邦ということだと思いますが、その議長の息子ということなのに、なぜ「王子様」「殿下」扱いされてるんでしょうか?
まさか議長って世襲の役職なのか?
もしやこの世界観は民主主義の限界を暗喩していると、そういうことなんですか??(多分違う)

えー、シュドルートに話を戻しまして。
ストーリー的には、結構ご都合主義的? 力業? なところが多かったかなと思いました。
そうでもしないと、尺の問題もありますし、話が進まないし片が付かないということなんだろうなと愚考いたすところ。

イヴちゃんの持つナノマシンの力とか、制御用に神殿騎士の人格データが使われているとはいえティアブレイド用の武器が物凄い権限を持つ「意志持つ武器」と化しているところとか、あと何かシュドの涙で操縦者用の指輪が反応したり。
バッサリ原理の説明が省かれているせいで、凄くファンタジー寄りな処理をされたように思えました。
せっかくこの世界観なので、もっとハードSFに寄せた説明をしてほしかったなと思います。まあ別にハードでなくてもいいんですが、とにかくSF的な説明求む。

ハッピーエンドの、イヴ様がイヴちゃんから分離して、ナノマシンで浄化してくれたよ、だからイヴちゃんの命は無事だよ、そして更に人間の身体も贈呈してもらえたよ、というアレも、凄くご都合主義っぽい……とは思うんですが、これについては、イヴちゃんとイヴ様が別人格として分かたれた意味はここにあったということなのかな、と思えたので、良かったのかなと思います。

それに、ご都合以外の部分で失われたものも結構大きく、ハッピーとはいえちょっと悲しみの漂うエンドだなと感じましたし、バランスは取れていたんじゃないでしょうか。

トラジックエンドの、イヴちゃんが機械の骨格だけになってしまう(ナノマシンの力喪失して再生不可)のも、結構好みな感じでした。
古代知識詰め込まれたティアブレイドの維持とデータの活用は、シュドとイヴちゃんだけでどうにかなるもんでもないでしょうから、イヴちゃんを狙っていた国家上層部の力を借りないわけにいかないでしょうし、この先の混沌を予測させますねえ。

しかし、古代文明時代、あれだけの文明が栄えているのに、諸々の動力が未だに電力(そしてティアブレイドは使い捨てのバッテリーを背負って出撃している)というところに、ミョーなリアリティを感じました。