ビルシャナ戦姫 ～源平飛花夢想～ 感想1（平教経）
はじめに
ふと、「そういえば『百花百狼』面白かったよなあ……」なんてことを思い、同じ制作会社さん？ の同じく時代物（大分年代違いますが）、ということで選びました。
プレイ順は、公式推奨攻略順に基づき、
平教経→武蔵坊弁慶→春玄→源頼朝→平知盛
です。
そんな感じで感想です。
声優さんの氏名は敬称略です。
ストーリー概要
源氏の御曹司として鞍馬山で育った遮那王には、幼馴染みと育ての親しか知らない秘密があった。
とある平家の若武者が遮那王の前に現れたその日から、遮那王は源平の戦いへ身を投じていくことになる。
みたいな話。ではあるんですが……
個別キャラ感想
平教経（cv.河西健吾）
平清盛の甥。武人としての己に強い誇りを持っている。が、誇りを持ちすぎて、無邪気・純粋キャラと化している。
うーんー、主人公がメンタル強度SSSの作品をプレイした直後なので余計にそう感じてしまっているのかも知れないですけど、遮那王＝義経のメンタルがめろんめろんなのがちょっと……辛い……という感じでした。
源氏方のキャラのルートでは、もうちょっとましなメンタルであって欲しい……
教経は、ぶれないメンタルの持ち主であることは良いと思うのですが、自分の望みを無邪気に押し付けて、結果義経の立場を悪くさせるところがどうにもウザかったです。
まあ、義経がきちんと突っぱねれば良いだけの話ではあるんですけど、何かと理由つけて流されちゃうからなあ、義経。
ストーリーとしては、ロミオとジュリエット、ただしロミオはモンタギューの名を（最終的には）捨てないし、ジュリエットはキャピュレットに全く愛着ないよ！ という感じ。
「新たな源平合戦」と銘打つとおり、遮那王が鞍馬寺を出奔したあとの鏡の宿で元服しなかったり、かと思えば平泉を出立する前に元服したり、しかも大して戦上手な感じでもない上に上述の通りあっさり平家方に寝返るわで、従来のいわゆる「九郎判官の物語」の王道を外してくるなあと思いました。
教経が身一つで平泉まで旅をし、途中の旅人との交流などを通して人間的に成長する様は良かったです。
が、遮那王の迷惑を顧みずに（以下略）
平泉にやって来た教経は、とある経緯により奥州藤原氏の手のものに見付かって投獄されるわけですが、遮那王が、秀衡様達を裏切って教経を逃がしてしまうのですよね……
どう言い訳するのかと思ったら、遮那王が「源氏の御曹司として平家を倒すことによって、教経を逃がした責任を取る」みたいな釈明を行い、なんだかんだ皆さんそれを受け入れてくれるところは、まあ、乙女ゲームとしては落としどころかな……と思いました。まだこのときは、そう思って……いた……
どうでも良いですが、秀衡様の息子の泰衡さん、小物寄りのちょい役の割にイケメン過ぎませんかね……
義経が木曽義仲の軍と共に、教経が副将を務める平家軍と戦うくだりでの、源氏方の人数を多く誤魔化すために義経が単騎で平家の陣に行って説得力を増す作戦。
平家軍には義経との対決を熱望する教経がいるんですから、ちょろっと顔を見せてそのまま退散するなどということは出来ないと、なんで分からんの？
こういったところが、どうにもこの義経が戦上手に思えない理由なんですよね……
義仲軍が京の町で略奪をしているのを止めようとして、なぜか教経と共闘して平家の女子供を守ることになるくだりも、義経の行動が将としての視点に欠けているように思われてならない。
あと、義経が、略奪を続ける義仲軍と戦うところまでは良いとして、その後平家陣営に連れて行かれてキャッキャウフフの療養生活を送るのは……ダメじゃろ……？
義経が負傷のために動けないという理由はあったとしても、源氏方への帰属意識が全くなく、ほとんどためらわず抵抗せず教経に連れて行かれるのは、まじで目を疑いました。
行方不明（平家方で療養中）だった義経が春玄をはじめとする部下達に発見された後、佐藤兄弟に「あの時（平泉で教経を逃がしたとき）、平家を倒すことで平泉を守ると言ったじゃないですか」的なド正論を言われた義経が、言うに事欠いて「あの頃の私とは違うんだ」とかのたまったのは……なんかもう……よく臆面もなくそんなことが言えるなと思いました。
また、徳子がいかにも腹黒策士っぽく描写されていたにもかかわらず、結局権力に執着するお馬鹿さんでしかなかったところが非常に残念でした。今後とっこちゃんと呼んでやる……という気分になりました。
とっこちゃんが源平の和睦の場を襲撃させ、それに対して頼朝が伏せていた手勢を出して応戦することによって壇ノ浦の決戦につながっていくわけですが、平家の人達が頼朝に対して「和睦する振りをして裏切ったな」とか言っていたのが心底解せませんでした。
先に和睦の場を血で染めたのはあなた達平家方なんですけど……？
平家方の兵達はとっこちゃんを平家方だと思っていないの？ そうだとするなら、安徳天皇も平家方ではなくなりますけど？
せめて平家の手でとっこちゃんと手勢を取り押さえ、真摯にわびておけば、和睦の道は絶たれなかったと思うんですけどねえ。まあ、条件面は厳しくなるでしょうけども。
恋愛エンドは、まあ落としどころかな……と思いました。
相打ちを装って2人で逃亡エンドは、「百花百狼」の某エンドを彷彿とさせました。
それにしても、義経は「全てが終わったら性別を偽らず生きていきたい」的なことを言っておりましたけど、名乗る名前は義経のままなんですね。
悲恋エンドは、本当に相打ちエンドでしたが、君ら抱き合うのは海に落ちてからにしろよ……せめて名誉を傷付けず死ね、と思ってしまった（感情移入ゼロ）
まあ、遠目に見たらボクシングでいうクリンチ的な何かに見えるんだろうか……
恋愛面では、敵味方恋愛という大変おいしい構図であるのに、義経が源氏方に全く帰属意識や愛着がないので、おいしいシチュエーションが生かせていないという印象でした。
女装ネタは、男装ヒロインのお約束なので、まあ良かったんじゃないでしょうか。
全体的に義経に源氏方への帰属意識や責任感が足りないのが気になりました。
今後のルートで解消されることに期待したい。
サードパーソンビューな立ち絵での戦闘シーンは、結構くるくる動いてくれて良かったと思います。
個人的には「百花百狼」の方がセンスを感じるというか琴線に触れる感じでしたけれども。あくまで個人的にはです。
あと、平重衡ですが、「あーあ、源氏を血祭りに上げたかったのになあ」みたいなことを頻繁に言う割に、このルートでは戦闘シーンが一切出て来なかったので、単に粋がっている人にしか見えなかったです……
事実なのかお馬鹿さんなのか韜晦なのか？
