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主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

剣が君 百夜綴り 感想メモ5(桜の書)

感想メモ4からの続きです。

桜の書

共通ルートなど

花嫁行列のお仕事を終え、江戸に帰ってきた香夜ちゃん。護衛の皆さんと一緒に幽霊騒動やらに巻き込まれるうち、左京さんの仇討ちとか常夜の門問題などに発展していく……という話でした。
 
なるほど、これがいわゆるアナザーストーリーというやつですね。
乙女ゲームの続編? FD? 的なものをプレイするのが初めてなもので、この手のアナザーストーリーももちろん初めてだったのですが、各キャラエンド後、ちゃんとエンディングまで流れるんですね。
それを知らなかったので、エンディング曲が流れ始めたとき、ちょっとびっくりしました。プレイ順間違ったかと思った。
 
本編みたいに選択肢で各キャラ好感度を上げる形式ではないので、同時進行で各キャラに香夜ちゃんがポッとしているように見えて、若干「移り気な人はちょっと……」みたいな気持ちになってしまいました。
 
いや、香夜ちゃんのせいじゃないし、システム上やむを得ないのも分かっております。
なので、「男性に免疫がない香夜ちゃんが、イケメン共に優しくされたら照れちゃうのは仕方ないんだ……! 断じて恋じゃない……!」と自分に言い聞かせながらプレイしました。
 
まあ、香夜ちゃん照れちゃうシーンは少々で、護衛の皆さんが活躍するシーンが大半だったので、そこまでビッ(自主規制)風味を感じなくて良かったです。
 
ストーリーについては、左京さん仇討ちベースなので左京さんはもちろんですが、実彰さんと縁さん(安定の縁さん贔屓)が良かったです。
 
中でも実彰さんなのですが、刀泥棒な敵のアジトを突き止めるための囮作戦で、孫六兼元をあっさり提供(貸すだけですが)します。
もちろん考えあってのこと。つまり、孫六兼元に憑いているハバキちゃんがいれば、盗まれた後でも発信器と敵情視察の両機能付きで敵アジト丸裸という寸法です。
 
ここで実彰さんが、「このまま孫六兼元を失っても、わたしは惜しいと思わないだろうな」というようなことを考えていて、この実彰さんもなかなかの闇の持ち主だなあと。
 
というか、孫六兼元、確か恩人さんからもらった刀じゃろうに。なのに惜しくないとかそんな薄情な。
あと、ハバキちゃんがあんなに実彰さんのこと大好きなのに、あまりにも薄情な。
九十九丸や縁さんが実彰さんに薄情やら見損なったやら言うのも納得である。
 
ハバキちゃんは何であんなに実彰さんが好きなんですかね?
実彰さん過去編見た限りでは、「実彰が持ち主ならご飯に困らなさそう!」ぐらいの感じでしかなかったように思うんですが。
 
というわけで、護衛の皆さんの手助けを受け入れ、左京さんは家族の仇・斬鉄に一太刀入れることに成功。ただ、惜しくも取り逃してしまいます。というのが全員の共通ルートでした。
 
左京さんの恐ろしいまでの甘さが鳴りをひそめていたおかげで、ちょっと本編よりまともな仇討ち物語だったような気がしないでもない。
 
ここから3人ずつの2ルート分岐、そして各キャラエンドへ……ということで、以下各エンド感想です。
プレイ順は、 実彰→左京→鈴懸→螢→縁→九十九丸 です。
 

実彰エンド

実彰さん側のルートでは、手負いの斬鉄が偶然孔魔壇のある洞窟に迷い込み、呪術師の鬼老婆から数珠丸を奪って常夜の門を開き、江戸壊滅を企みます。なお、斬鉄は常夜の門からあふれ出た常夜妖怪に飲み込まれて死亡いたします。
 
実彰さんは大典太を手に、江戸になだれ込もうとする常夜妖怪の群れと戦い続けますが、多勢に無勢、力尽きかけたとき、香夜ちゃんが孫六兼元を持って駆けつけます。実彰さんは刀を孫六兼元に持ち替え、最後まで耐えきることに成功するのでした。
 
最後まで、というのは家光公が常夜の門を閉じるまで、という意味です。
実彰さんが対症療法(江戸の町の入り口に陣取って妖怪を倒しまくる)に勤しんでいるのを見ながら、「実彰さん、いつ孔魔壇行くんだろう? 元を絶たないとどうにもならんだろ、これ……」と思っていたんですが、そっちはどうやら担当者が違ったようで。
 
何というか、このシナリオ、大典太の立場がないですね。大典太で常夜の門を閉じるわけでもなし、「神降ろし」して妖怪封印するわけでもなしで、結局最後使ったのは孫六兼元ですし。
「惜しいとは思わない」とか思ってた癖にな。
良かったね、ハバキちゃん。
 
「梅の書」過去編でも思いましたが、家光公が持ってた天下五剣、あれ何なんでしょうね。
「桜の書」共通ルートで、縁さんが三日月宗近を持っていると思われる描写がありましたので、三日月宗近ではありませんし、大典太は実彰さん、数珠丸は短刀サイズだから多分違う。鬼丸国綱が八幡氏の後、新たな主を選んでいないという設定がこのシナリオでも生きているなら、残るは消去法で童子切ということですかねー。
 
一度天下五剣を手放しても、別の五剣とあっさり契約できるとか、上様あまりにもチート……こりゃ縁さんも自信なくしますわ。
 
エンディングに実彰さんの独白が入ってびっくりしました。こういう形式のエンディングってよくあるんですか? 私が今までプレイした乙女ゲームはもれなく、各キャラエンディングの違いって、表示されるキャライラストのみの違いだったもので。
この形式良いですね。エンディングの鑑賞し甲斐があります。
 
エピローグで何やら実彰さんと香夜ちゃんいい感じな風になっておりましたが、そんなエピソードなかったよね……? いや、分かってますが。システム上やむを得ないのは。
 
システムと言えば、視点選択で実彰さんか香夜ちゃんを選ぶとき、香夜ちゃんから選ぶとループしたりシーン飛ばされたりするバグ? が発生しました。攻略対象を先に選んだ方が良さそうですね、これ。
 

左京エンド

左京さんは実彰さんと別側のルートでして、こちらでは、手負いの斬鉄が洞窟に迷い込み、なぜか落ちていた妖刀・村正に取り憑かれてしまいます。そして剣ルート左京さんよろしく狂った人斬りとなり、家光公の命を奪うため、江戸城を目指します。
 
左京さんは仇討ちのため、斬鉄を止めるため、斬鉄に立ち向かい、腕ごと村正を落とすことに成功。しかし自身も手傷を負っており、とどめを刺すには至らないのでした。そして左京さんは、斬鉄の行方を捜し、旅立ちます。香夜ちゃんとの再会を胸に……という話でした。
 
えー、サッキョさんが終始左京さんでした。
村正の呪縛を負っていないので当然ではありますが。
 
その分、斬鉄が割を食っていて、若干気の毒に思えました。
「江戸菊の書」で敵方の鬼ふたり・斬鉄とシグラギの生い立ちとか語られてたのに、結局これか……
どんなにつらい生い立ちだろうが、現実には末路に手心加えられるようなことはあり得ないことです。それに彼らは本編でも純粋な敵扱いでしたし、仕方ないっちゃ仕方ないんですけどね。
 
村正、本編だけでは飽き足らず、「百夜綴り」でも何の伏線もなく出てきましたね。
何でそんな危険な妖刀が、その辺の洞窟に転がってるんだよ……
 
常夜の門は別に関係ないこちら側でも、家光公はなかなかのご活躍でした。時間稼ぎも助言もお手の物。
「梅の書」過去編とか「江戸菊の書」第一編とかで分かっていたことですが、家光公チート便利キャラ過ぎでは?
こんなにご活躍されると、よく本編でおとなしくしてたなあと思います。
 
左京さんに関係ないですが、縁エンドも斬鉄・村正側のルートなんですよね。それが、なんかもう。
本当だったら、孔魔壇側のルートで、三日月宗近に認められた一番刀として「神降ろし」を成功させて常夜の門を閉じる、とかが王道でしょうに、可哀想だよう。
 

鈴懸エンド

孔魔壇側ルート。常夜の門からあふれてきた妖怪が斬鉄を核に一体化して大蛇となり、江戸の町に攻め込もうとします。鈴懸はいつものように話し合いで解決しようとしますが、常夜妖怪+斬鉄の怨念にそんなもん通じるわけがありません。鈴懸は香夜ちゃんの助言により戦うことを決断。そのうちに家光公が常夜の門を閉じて妖怪の供給が止まり、大蛇も斃れるのでした……みたいな流れだった気がします。
 
このエンド、どうも印象が薄くてうろ覚えなんですが、鈴懸の特性(数珠丸に選ばれる運命とか通常妖怪や動物と話せるとかその辺)があんまり生かされていなかったなー、と思います。
私があまり鈴懸に興味ないからそう感じたんですかね? 違うと思いたいけどそうかも知れない。
 
孔魔壇側ルートで常夜の門を開くのに使用された数珠丸についてですが、多分鈴懸エンドで回収されるんだろうなー、と思っていたので、全く触れられなかったのは残念でした。
こういう期待をしていたので、鈴懸の特性が生かされてないと感じたのだと思われます。
 
まあ、敵愾心満々な大蛇相手に話し合いで解決しようとするところで、鈴懸の特性(みんな仲良くしようよ!)は物凄く出てますよね、冷静に考えれば。失敗に終わっているのでアレですけど。
 
常夜の門を閉じるに当たって、家光公が全く縁さんを当てにしていないのが涙を誘う……
「今年こそ一番刀が現れればいいが」はないでしょう、さすがに。
 

螢エンド

斬鉄・村正側ルート。村正に取り憑かれて江戸の町に攻め込んできた斬鉄に螢さんは立ち向かいますが、刃を交えるうちに鉢巻きが切れ、鬼の角があらわとなってしまいます。それを目撃した香夜ちゃんは驚きますが、螢さんは螢さんだと受け入れます。螢さんはそれにより力を得、斬鉄を倒すことに成功するのでした、という話でした。
 
あ、あれ……? 上様が出しゃばらなかった、だと……?
 
それはともかく、鈴懸エンドがネタバレ(数珠丸の件)なしだったので、螢さんの方も鬼バレなしなのかなー、と思っておりましたが、描写はあっさりにせよ鬼バレがあってよかったです。
 
螢エンドの斬鉄は、左京エンド斬鉄に比べて、狂い方が足りなかったような気がします。
少なくとも、螢さんが鬼だとばれた後はずっと正気だったんじゃないかと思います。
村正が、超回復以外あんまり妖刀ぶりを発揮していなかったんじゃないでしょうか。怪力は妖刀効果なのか、元々斬鉄が力持ちなのか……
 

縁エンド

斬鉄・村正側ルート。家光公の命を狙う斬鉄を江戸城に誘い込み、縁さんは一番刀として斬鉄を迎え撃ちます。手負いの身体と相変わらず応えない三日月宗近、そして妖刀でパワーアップしている斬鉄。縁さんは一度は倒れますが、香夜ちゃんに託された櫛の存在を頼りに立ち上がります。そして見事、斬鉄を討ち果たすのでした。
 
あああ良かった、格好いい方の縁さんのまま終わってくれた……!
和幸奇みたいな逃避をこっちでもやられたらどうしようかと思った。
 
斬鉄はそこそこの狂いっぷりでした。左京エンドほどではないですが。
螢エンドのまともさは一体何だったんだ。
 
あと、エンドによって斬鉄の強さに強弱があるような。縁さんがここまでボッコボコにされるような強さを、左京さんとか螢さんとかと戦ってた斬鉄からは感じなかったんですけどねえ。
まあ、村正は徳川にとって相性最悪の刀ですからね。村正から斬鉄に供給されるパワーも、きっと相手によって強弱があるんでしょう。多分。と脳内補完しておきます。
……うん? 縁さんが左京さんや螢さんより弱い可能性ですか? いや、そりゃないでしょう。縁さんは一番刀ですよ。まあ諸事情ありの一番刀ですけど、それでも一番刀になったことがない左京さん螢さんよりは強いと思うの。(縁さん贔屓の意見)
 
縁さんが一度倒れたとき、おとり役の家光公が「勝負あった、次は余が相手をする(意訳)」とかばいに入るのですが、上様、タオル投げるの早いよ……
「梅の書」過去編もですが、家光公の、強者ゆえのそういう過保護さというか、さじ加減のヘタクソさが縁さんを萎縮させるんでしょうなあ。
そこで信じてやるのが、八百長を見抜きながら縁さんに三日月宗近を受け継がせた家光公の責任じゃありますまいかね。
 
結局縁さんは「神降ろし」できなかったようですけど、マレビトの力を借りずに村正ブーストのかかった斬鉄を倒したんですから、むしろすごいと思うですよ。
だから縁さん、自信を持って!
 
斬鉄を迎え撃ちに行く前に、縁さんが香夜ちゃんに「斬鉄に狙われているのは俺の父親だ」と言うのですが、これ正体全部話しちゃうのかなあとハラハラしていたら、公儀隠密、一番刀で打ち止めでした。
妥当な判断だと思いますが、エピローグで「ただの公儀隠密でも一番刀でもない俺の正体を知っても笑ってくれるだろうか」みたいなことを言ってらっしゃって「あー……」と思いました。全力拒絶されるよ……ファイト、縁さん!
 
縁さんはやはり、お役目を果たすこと、期待に応えることが望みの根本なのだなあと。
「命の使いどころを見つけるまで死ぬわけにはいかない」
「この国を守ると決めたんだ!」
という台詞が心に痛い……
公の御ためという意志がある分、縁さんは攻略対象の皆さんの中で最も侍らしい侍だと思います。
 

九十九丸エンド

孔魔壇側ルート。瘴気と妖怪の群れに占拠された江戸の町で、九十九丸は香夜ちゃんと香夜父をかばって妖怪を迎え撃ち続けますが、多勢に無勢で心臓を貫かれ、倒れてしまいます。常夜で気がついた九十九丸は謎の男(九十九丸(大))にそそのかされ、力を借りることに。立ち上がった九十九丸は妖怪を斬り続けるうち、暗い感覚に飲み込まれてしまいます。しかし香夜ちゃんの呼び声が届き、九十九丸は九十九丸(大)の力を借りることをやめ、自力で現世に戻り、香夜ちゃんを守る道を選ぶのでした。
 
うん、まあ、孔魔壇側は上様が常夜の門を閉じるまでひたすら耐え忍ぶお話なんですが。
 
背後に守らなければならない人間がいるという縛りプレイとはいえ、九十九丸が一番弱い感じに描写されがちなのがつらい……
九十九丸は身体が成長しないというハンデ持ちですからね。しょうがないんですけどね。
 
九十九丸の特性が描かれていて、とても良かったです。とはいえ九十九丸(大)が何者なのか、そもそも心臓が飾りの九十九丸は一体何なのかというところまでは描かれませんでしたけども。そこ踏み込んじゃうと話が別の方向に行きますからねえ。
 
話の流れ的には、九十九丸ルート奇魂エンドに近いでしょうか。
奇魂エンドは飲み込まれたまま戻ってこられず(「for V」後日談のラストで戻ってこられましたがあれはノーカウントでしょう)、こちらでは戻ってこられましたが。
 
飲み込まれる直前、九十九丸がもう自分が何をしているのか分からず、「ただ目の前のものを葬り去ればいい」と剣閃を走らせたところで、香夜ちゃん斬っちゃったかと思ってガクブルでした。そんな荒サッキョさん状態にならなくて本当に良かった。
 
奇魂エンドとの違いは、
こちらは「香夜ちゃんを守るため」で奇魂は「香夜ちゃんを失わないため」だったことと、
こちらは「力を借りる」認識で奇魂は「半身として受け入れる」認識だったこと
でしょうか。
 
前者もでしょうけど、戻ってこられるかどうかの違いは後者の要因が大きいのかなと思いました。
奇魂ではマレビト=自分という認識があった上で受け入れたのに対し、こちらでは単に力を借りるだけという認識だったので、マレビトの意識と九十九丸自身の意識を分離可能だったのかなと。
そもそもこちらでは、九十九丸は謎の男(九十九丸(大))が何者なのか、何の力を借りているのか分かっていないはずですしね。
 
戻ってきた後も、九十九丸の手が瘴気の霧のように冷たいという描写があって、その不穏さがとてもよろしい。
 
九十九丸の本質は、やはり剣の道、それも活人剣にあると思うんですよね。
その点から言うと、九十九丸の本質が成就したのは、やはり荒魂エンドですよねー。これ以上は言うまい。もう散々言ってるから。
 
結局どのエンドでも数珠丸が回収されなかった……
いや、描かれていないところで回収しているんでしょうけどね。家光公が。