kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

剣が君 百夜綴り 感想メモ13(彼岸花の書)

感想メモ12からの続きです。

彼岸花の書

感想メモ1で書きましたが、私は「彼岸花の書」をプレイする前に「ご褒美」を聴いてネタバレ食らっています。
言ってしまうと九十九丸剣取りの件なのですが、予想していたとはいえ、公式情報として知ってしまうとダメージが。
そんな感じで、以下感想です。
 

第二編

九十九丸奇魂エンドのアフター。
マレビトのことを受け入れた九十九丸の修行の旅について。
 
終始怖いです。
「for V」本編のエンディング後、明らかにもう人間じゃないだろ、と思っていたんですが、この奇魂アフターでは、表面的には九十九丸っぽい感じで、それが余計に怖い。
 
例えば、九十九丸の前に妖怪が現れたとき。妖怪は威嚇するだけで襲ってきません。ほら……九十九丸だからさ……ばったり出くわした妖怪が可哀想ですよね……
そこで選択肢が現れます。
 1 つまらないな
 2 臆病だな
 3 気にすることはない
この3つなら3だと思うじゃないですか。1と2は明らかにマレビト寄りですし。
で、3を選択すると「襲ってこなくても気にすることはないか」と言ってこちらからバッサリです。ええー!? っていう。
まあどれ選んでもバッサリなんですけど。
 
そんな九十九丸が九十九丸だったら絶対しないような行動をする反面、宿場町で店員さんなどに避けられまくると、「どうしたのだろう……」みたいにしょんぼりしちゃうんですぜ。
このアンバランスさが恐怖です。
 
この話の中で、当初は九十九丸の意識保ってて、襲ってきた盗賊を滅多切りにした時に融合完了したみたいに描かれてましたが、既に根本部分は乗っ取られ済みでしょ、これ……
というか「for V」奇魂エンドで料理茶屋の手伝い中、九十九丸を怖がってお客さんが来なくなったの、九十九丸は分かっていて気にしていないのかと思っていましたが、これ見ると本当に全く気付いてなかったんですかね。
あれに気付かないとか、それはそれで怖いです。
 
うっかり寝る前にプレイしたのをちょっと後悔する内容でした。
 

第三編

幸魂エンドのアフター。
香夜ちゃんと喧嘩(っていうか)してしまった九十九丸が、仲直りするために右往左往する話。
 
あーどうでもいいどうでもいい と言いそうになった自分にびっくりです。
最萌九十九丸の話なのにだぜ?
それだけ平和で幸せな話だということですね。心からごちそうさまです。
 
なぜ香夜ちゃんが怒ったのか分からず、九十九丸が色々な人に相談するのですが、犬も食わない話をこんな四方八方に喧伝して大丈夫なのだろうか、このことが香夜ちゃんの怒りに油を注いで、仲直り失敗するんじゃなかろうか……と心配したんですが、特にそんなことはなかったです。
分かってたけど、香夜ちゃん超心広いな……
そんな香夜ちゃんでなければ、この幸魂時空までたどり着けなかったのでしょうしね。
 
それにしてもちょこっとしか登場しないのに、金四郎さんの手慣れた感じが超格好いいです。もし今後「剣が君」の展開があるとしたら、是非金四郎さんの奥さんを拝みたい(既婚前提)(だってこんないい男(主観)が独り身なわけないじゃないですか)
 
それに引き替え九十九丸の過保護というかむしろ束縛というか、更にあまりにも素直というか鈍感というか全く悪気がないところとか。
相変わらずの九十九丸だなーと思う反面、ミニマムな通常九十九丸だったら微笑ましく見守れると思うんですが、この図体でやられるとちょっとウザ……いや、何でもない。
 
幸九十九丸が、あんなに焦がれていた剣の道から離れた経緯が語られることを期待していたのですが、剣のケの字も出て来やしない。このままうやむやなんですかねえ?
 

第四編

和魂エンドのアフター。
香夜ちゃんの意識がはっきりした上、「百夜綴り」各所で問題になっていた門の歪み問題が解決する話。
 
あれ……? 自分、プレイする順番間違った……?
和と荒、どっち残そうか迷って、荒アフターは多分剣取りの話だろうから、和アフターから先にプレイすることにしたんですけども。
上に書いたとおりの内容で、えーと、これ、物凄いハッピーエンドですよね? 私の感性の問題じゃないですよね??
まあ、和なので師匠無駄死にの事実は動かないんですが。というかこのアフターでは触れられもしませんでしたが。
 
「for V」後日談で唯一「うーん……」だったのが、香夜ちゃんの意識がボケボケな点でした。香夜ちゃんにはちゃんと自分の意志で九十九丸の側にいてあげてほしいと思っていたので。それが叶って、良かった……!
というか、ボケボケしてたの、てっきり死んだからだと思ってたんですが、九十九丸が香夜ちゃんを常夜に引き留めたくて、マレビトとしての力使ってやってたのか……まあ、その独占欲が九十九丸らしいっちゃらしいです。
でも、香夜ちゃんにちゃんと選択肢を提示した上で自分の意志で選んでもらえて、本当に良かったね、九十九丸……!
 
そして数珠丸の主として大活躍する鈴懸。九十九丸ルート時空でも相変わらずチート級に天下五剣適性が高いですね。
まあ、常夜の門を開いて九十九丸=マレビト(と香夜ちゃん)と対話して現世と常夜の均衡を取り戻すというこのお仕事、他の誰が出来るかって話です。この役は鈴懸にしか出来なかったんでしょうね。
他に適性高そうなのって鼓さんと家光公ですけど、鼓さんはお亡くなりになってるし、さすがに上様よりは鈴懸の方が(キャラ的に)合ってるでしょうし。
……縁さん……ガンバレ! 自分を信じて!
 
螢さんは御前試合の決勝戦で鈴懸に負けたそうですが、よく本人ルートで勝てましたね? 多分剣ルート螢さんは何かゾーンに入ってたんでしょう。きっと。剣聖に勝つぐらいですし。
螢さんは、「for V」本編の共通ルートなどで実彰さんの次に強いみたいな描写がされてましたけど、実は(本人ルート以外では)そこまででもないんじゃないかと思えてくる今日この頃。
「for V」本編共通ルート時点で、実彰≧鈴懸>縁>螢=左京≧九十九丸 ぐらいじゃないかと。鈴懸の位置取りに悩みますが、さすがに本人ルート補正の影響がなければ、剣聖・実彰さんよりは下かなー。あと九十九丸はミニマム状態での本人のみの実力です。一人だけハンデ戦だけどしょうがない。
 
鈴懸は九十九丸と香夜ちゃんが幸せに暮らしていることを皆さんに伝えてくれるそうですが、それって必然的に九十九丸=マレビトの事実も伝えないといけませんよね。その事実を知ったときの皆さんの反応が気になる……
 
それと、九十九丸の剣技が見られて良かったです。和九十九丸、ちゃんと帯刀してますもんね。……幸九十九丸と違って……
自分が九十九丸かマレビトか、どちらか分からないみたいなことを言っている割に、相変わらず九十九丸優勢みたいですね。器たる肉体は元々九十九丸のものなので、それに引っ張られるとかでしょうか。
香夜ちゃん意識はっきりしたし、貸本「常夜の神の書」状態への夢が広がりますね。私だけか。私だけかも知れませんが。
 
100%神のマレビト様と違って、今は九十九丸の肉体を得て人に近くなってしまったため、永劫の孤独に耐えられないとのことですが、マレビト様はそもそも、九十九丸の肉体を得てどうしたかったんでしょうね。香夜ちゃんが来てくれなかったら、日の本崩壊してただろ、これ……
 
「香夜」という名前って、「常なる夜」を「香しい夜」(こうばしい、ではなくてかぐわしい、です。念のため)にする、という意味なんですかね? だとしたら九十九丸和魂エンドにぴったりの名前ですけど、多分違うんだろうな……
 

第一編

荒魂エンドのアフター。
九十九丸剣取りの話。
 
あ、でもやっぱりこっちも凄く良かった。九十九丸、剣取りおめでとう!
 
「ご褒美」の「人物詳細」で九十九丸が鬼丸国綱を持っていましたので(あと「主を選んでいない」という鬼丸国綱の設定もありますし)、分かっていたことではありますが、それでも実際に九十九丸剣取りの話をプレイすると、大変めでたい気分になりました。
 
霊場巡りの旅から九十九丸が帰還し、再び料理茶屋で働き始めた序盤、九十九丸が「やはり剣を捨てられないが、お嬢さんと旦那さんには心配かけるから言えない……」みたいなことを考えておりまして。
あー、九十九丸が「for V」本編と同じ袋小路に陥ってるなー……と思ったのですが、さすがに九十九丸も成長していたらしく、中盤でそのことを自力で自覚してくれて良かったです。
 
そして今回は特に邪魔も入らず、ちゃんと香夜ちゃんに伝えられて良かったね。でも、袋小路の自覚前ですが、「九十九丸が消えてしまいそうで怖い」というようなことを訴える香夜ちゃんをキスでなだめるところは、この女たらしめ! と思ったよ……一応褒めてます。そのギャップもまた九十九丸の魅力だと思うんですよ。
 
九十九丸が、剣の道を捨てて、お嬢さんと旦那さんとともに料理茶屋を切り盛りする暮らしを想像して、幸せなのに胸にわだかまりが残る……みたいなことを考えていたので、つい幸九十九丸Oh……と思ってしまいました。やめよう。他エンド時空の話で幸時空のこと考えるのやめよう。
 
やはり九十九丸は剣の道を行ってほしいと考えてしまいます。剣に焦がれ、剣そのものを目的とするのが九十九丸の本質だと思うんですよね。
 
御前試合で決勝まで勝ち進み、試合前に内なるマレビトとの会話をする九十九丸ですが、そういえば、荒魂時空でマレビトが九十九丸(大)として出てきて九十九丸と対峙したの初めてですかね。さすが神というか、封印された状態なのにそんなことが可能なんですね。
それとも九十九丸自身の心象風景的な自問自答というセンもありでしょうか。
 
勝戦の相手が縁さんなのですが、まあ色んな角度(実力とか立場とかご職業とか)から見て妥当な人選ですかねー。
とはいえ、縁さんが御前試合に出場する理由ってほとんどないんじゃないかと。出場すれば決勝まで勝ち上がるのは全く不思議ではありませんが。
私は、「九十九丸の資質を見定めるように」とか家光公の命令を受けたんじゃないかと思っているんですが、どうでしょう。
 
九十九丸が剣取りを成し遂げる話なので、もちろん九十九丸が勝利するわけですが。
何かの思惑が働いての縁さん参戦だとしても、縁さん本人が言っていたとおり、手抜き等はなかったことでしょう。御前試合の、しかも決勝戦で、手心を加えるようなことはあってはならないということは、縁さんが一番よくご存じでしょうから。
……あー、これも決勝の相手が縁さんだった理由の一つかも知れませんね。
 
縁さんは安定の他ルート縁さんで、強いし格好良かったです。
完敗だよ、と言っておられましたが、そんなことないと思うよ……! 途中まで縁さんが押してたし、次やったら分からないと思う、よ……!
 
縁さんとの対戦中、九十九丸の台詞の中に愛刀の銘が出てくるんですが、文字では「香夜」となっているのに、音声では「このかたな」でした。分かってたけど……ちょっと残念な気分になりました。主人公ちゃんをデフォルト名にしている場合でも「かよ」って言ってもらえないんですね……
だから「人物詳細」でも、ネタバレになるのは承知の上で「鬼丸国綱」の方を使うしかなかったんでしょうね……
 
九十九丸の今後の活躍が気になります。
八幡氏のお子さんですし、そもそもの五剣適性は高そうですよね。
いや、適性が遺伝するのか分かりませんし、適正というものの存在も、私の解釈上のものでしかありませんが。
ですが、反魂呪のせいで、九十九丸は常夜との親和性が高くなってるんじゃないでしょうか。その状態で五剣の性能を、想定されたとおりに引き出せるかというと、どうなんでしょうねえ(ニヤニヤ←ゲスプレイヤー)
最終話、この辺のフォローしてくれませんかねえ。
 

第五編

幸魂時空。
九十九丸が風邪を引く話。
 
この話、タイトルが「それは生きている証」なんですけど、その通りの話でした。
九十九丸が病気にならないし毒も薬もへっちゃらだったのって、死んでるからだと思ってたんですが、マレビトの力の影響だったんですね。
あれ、第四編でも同じようなこと思ったぞ?
 
風邪引いているのにそれに全く気付かない九十九丸がうざかわいかったです。
 
「剣を握らなくなったとはいえ、こんなに体力が落ちてしまったのか」とか言っていましたが、そうじゃなくって、その握らなくなった経緯を教えてくれませんかねえ?
 

第八編

幸魂時空。
九十九丸がその手に剣を取り戻すとともに、過去編で張られていたいちさんの伏線が回収される話。
 
そんな気はしていましたけど、幸魂時空でした。荒魂時空じゃなくて本当に残念。
 
最終話に至ってようやく、幸九十九丸が剣の道から離れた理由が語られました。
義理の家族といい「for V」本編での香夜ちゃん&香夜父といい、自分が剣を握ると家族を失うような気がして(後者は常夜から戻ってこられたので未遂ですが)、再度剣を手にすることが出来なかったということです。
なるほどそうなんですかー。……それ、台詞のみじゃなくてちゃんと演出つけて語ってくれたらもっと良かったのに……九十九丸が剣を手放すって、かなりの重大事だと思うんですが。それを台詞だけで説明するのやめて下さいよ……説得力に欠ける気がしてしまう。
まあ、触れられずにうやむやになる可能性を思えば、説明されただけ良かったとは思います。
 
なじみの問屋さんの使用人(女性。おばちゃんと呼ばれ親しまれている)が山賊にさらわれたという事件が発生し、九十九丸は自ら剣を取って助けに行こうか行くまいか悩みます。
この辺で上記の剣の道から離れた理由が出てくるわけですが、九十九丸のぐだぐだ、この図体でやられるとちょっとウザ……いや、何でもない。
 
で、なんやかやで結局、九十九丸は再び剣を手にすることを決意し、山賊の元へ赴くわけです。
そこでの戦闘描写がね。元々の九十九丸の武器である速さに加え、斬撃に重さも加わっている、ということが描かれます。
思わず、「ほら見ろー!」と言いたくなりました。体格が年齢相当になったことで、ウィークポイントだった攻撃の軽さが解消されてるんですよ。荒九十九丸よりよっぽど剣士向きの体格・体質(マレビトと半死状態の件)になれたのに、包丁持ってるの本当にもったいない!
 
この一件により剣の道を取り戻したとはいえ、本業は料理人なんですよね……マルチつづらん素敵ですけど、もったいないとしか言いようがないです。
もう、料理人初の一番刀を目指せばいいよもう。(多分侍じゃないから帯刀できないのでアウト)
 
あとは九十九丸母・いちさんの件ですね。
過去編での伏線を回収してくれてすっきりしました。
山賊を前に毅然としているいちさんが非常に格好良かったです。
いちさんは九十九丸が息子だということに気付いたようですが、九十九丸に伝えてあげないんでしょうか。名乗り出てあげても罰は当たらないと思いますけどねえ。
……いちさんは、自分が伊達藩を離れた後、夫と息子の身に起こった出来事をご存じなのでしょうか……
 

というわけで

ようやく感想上げ終わりましたー。
長い。プレイ時間も長かったけど、感想も長い。
 
「剣が君」本編での疑問点の補完がちょこちょこ入ってきてくれて、本編とこの「百夜綴り」セットで「剣が君」という作品を更に好きになった気がします。
 
……ところで、各キャラ剣ルート生存エンドのその後がとても気になるんですが……もうこの後の展開はないんですかね、やっぱり……
もしあったら全力で応援します。