kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

ニル・アドミラリの天秤 クロユリ炎陽譚 感想2(鷺澤累)

個別ルート感想

感想1からの続きです。

鷺澤累(cv:櫻井孝宏

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ストーリーは、脱獄犯に苦しめられる(っていうか)人気女優と生母を救おうとして空回りしまくる鷺澤君 みたいな感じ……と言うか、何と言えばいいのか……
 
「帝都幻惑綺譚」のプレイ中、私は彼のことを心の中でリーダーと呼んでいたのですが、「クロユリ」ではもうリーダーではないので、何と呼べばいいか悩んだというどうでもいい話。結局、普通に鷺澤君と呼んでおります。
 
クリア後の正直な感想は、「本人ルートなのに鷺澤君の影薄っ!」でした。
次点で、「鷺澤君がっつきすぎ」。
 
前作の時点から、私はあまり鷺澤君に感情移入できなかったので、引き続き……ということもあるんですが、もう1名、男装の人気女優・錐合蓮嬢のアレさもなかなかでした。
そのおかげで、(翡翠ルートと同じく)ツグミちゃんの言動は特に気になりませんでした。前作からの1年ちょっとでツグミちゃんが成長された結果だとするなら、たいそうめでたいことだと思います。
もし、この成長を描くために「帝都幻惑綺譚」のツグミちゃんをあれだけアレに描いていたなら、凄い深謀遠慮ですね。
 
鷺澤君の方はちょっと後回しにするとして、鷺澤君の影薄っ! な原因の1人、錐合嬢。
脱獄犯=四木沼兄に脅され、稀モノを書かされているということで、「正義の味方」の鷺澤君に四木沼兄を殺してくれと頼みます。(前作で鷺澤君のやっていることを全く「正義」だと思えなかった私はこの辺で既にウワァなんですが)
 
そんなむちゃくちゃなことを頼む割に、その理由である自分の「絶望」を錐合嬢は全く語ろうとしないわけです。
まあ、錐合嬢が「舞台の上で男性役を演じているので、プライベートでも男性として扱ってほしい」みたいなことを言った時点で大体想像つきますけど、錐合嬢はいわゆるトランスジェンダーで、それが絶望の根源ということでした。
そんな、現代においてもなかなかセンシティブな事案を、よくもこの(一応)大正時代に持ってきたなと。
 
あと、錐合嬢の「絶望」が何なのか分からないので事態の打開策が分からないと困惑するツグミちゃん達は、錐合嬢の稀モノを読んでみればいいんじゃないのかと。(前作の???ルートでやったのと同じ解決方法)
 
そんな錐合嬢が「鷺澤君が四木沼を殺してくれないなら自分が殺す!」とかいって暴走しまくるので、そっちの対処に重点が置かれて、鷺澤君の影が薄くなるんですよ……
鷺澤君も立場的に別行動が結構多いですし。
 
まあすったもんだの末、ハッピーエンドでは錐合嬢も落ち着きを取り戻し、「手術」も考えるようなことをおっしゃいまして。この時代、女性→男性の技術あったんですかね? 逆は、最悪、中国四千年の宮刑技術持ってくれば良いでしょうけれども。
 
華族令嬢「錐合澄蓮」と舞台女優「錐合蓮」が明らかに同一人物なのに、指摘したのがサブキャラの雀部君だけだというところがなんか笑えました。
 
鷺澤影薄の原因のもう1人は、薔子さんですね。
鷺澤君、救おうとした2人の女性のせいで影薄になっているという……
特にハッピーエンドは薔子さん無双でした。夫のご無体を止めるために颯爽と登場し、颯爽と自身の懐妊を告げるところは格好良かったですし、大変おめでとうという気分になりました。
前作では「実は攻略対象の生母」という重要ポジションにもかかわらずあんまり印象に残らなかったんですが、今回は彼女自身の強さが出ていて良かったです。ラストで服装が替わったのも、前作からの伏線が回収された感じで、いい演出だったと思います。
 
四木沼兄はラッキーなポジションですね。
どこからどう見ても悪人なのに、「妻を愛している」という一点で株が爆上がりするという……
「雨の日に捨て猫を拾う不良」現象ですな。
 
で、鷺澤君です。
あんまりポジティブな感想にはならないので簡単に。
ツグミちゃんへの「秘密」を色仕掛けではぐらかそうとするところが(自重)。その「秘密」も隠す気があるのか疑わしいほど思わせぶりな感じですし。
 
「秘密」=もう「カグツチ」ではない普通の学生となってしまった自分と比較して、ツグミちゃんやフクロウへの劣等感を抱いている→「カグツチ=正義の味方」であり続けたかった。
ということなんですが、窃盗・傷害・放火未遂を見逃してもらってる立場で何言ってるのかと。そんなこと言うならまずはきちんと罪を償えよといいたい。
 
鷺澤君が一番輝いたのはバッドエンドのような気がします。
といっても、アカン方向の輝きですが。
雰囲気だけ見れば、ほの暗くていい感じにまとまってる風だったんですが、ちょっと解釈に迷うんですよね。
 
タイトルは「かっこうの秘密」。流産し、意識不明となった薔子さんの代わりにツグミちゃんが四木沼兄の子を産むことになる、というエンドです。
 
おなかの大きいツグミちゃんの側に寄り添い、かっこうの托卵の話をする鷺澤君。「私は四木沼兄の子を宿しているのに、どうしてそんなに優しいの」と尋ねるツグミちゃんに鷺澤君は「君の子だから」と言います。そして、「どんな子が生まれるんだろう、案外あの女性に似てるかもね」と。
 
本当にツグミちゃんと四木沼兄の子なら、あの女性=薔子さんに似てるわけないですし、わざわざかっこうの托卵の話を持ち出すぐらいですから(若干無粋だと思ってしまった)、まあ多分本当の父親は鷺澤君なんでしょう。
 
ここで問題となるのが、ツグミちゃんの認識が「子の父親は四木沼兄である」ことです。
ツグミちゃんの精神面がやばいことになっているか、鷺澤君に一服盛られたか……と思ってしまったんですが、本当のところはどうなってるんでしょうね。
 
そしてもう一つ問題。四木沼兄は子の父親が鷺澤君だと知らないのか? 知っていて黙認しているのか?
前者だと、四木沼兄どんだけ腑抜けているのかと。それだけ薔子さんの件がショックだったということでしょうかね。
後者の場合、考えられる理由は「薔子さんの血を引く子供がほしくなった」ぐらいかなあと。それ以外に思いつかない。この場合も、薔子ショックが大きいんでしょうね。
どちらにせよ、四木沼の血を途絶えさせるような真似をするなんて、四木沼喬ともあろう者がヤキが回ったなって感じですね。
 
そして、そんな状態の四木沼兄に対して(面と向かってはいませんが)「あの女性に似てたりしてね……」とかドヤる鷺澤君の小物っぽさが際立つという……
 
なんか、ここまで考えておいて、「薔子さん似」も「かっこうの托卵」も特に何の含意もなく、普通に四木沼兄の子だとしたら笑えるなと思ってしまいました。
 
翡翠ルートもそうでしたけど、この国どんだけ司法軽視されてるんでしょう。
法学部生の鵜飼君のご意見を聞きたいところ。あ、雀部君(同じく法学部生)でもいいな。