kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

ニル・アドミラリの天秤 クロユリ炎陽譚 感想3(汀紫鶴)

個別ルート感想

感想2からの続きです。

汀紫鶴(cv:鈴村健一

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ストーリーは、昔の知り合いの線から、反政府活動の広告塔にされそうになったり、憲兵に反政府活動との関わりを疑われたりする紫鶴さん みたいな感じ。
 
プレイ後の素直な感想としては、「憲兵による暴行死に見せかけようとしても、検視したら、毒とか生活反応とかで死因丸分かりなんじゃ……?」(注:バッドエンド)でした。
ちなみにハッピーエンドは、「杙梛さんの本業って闇ブローカーとかなんだろうか……?」です。
前者については、この時代の検視の精度が分からないので何とも言えないところではあるんですが。
つまり、鷺澤ルートほどではないですが、紫鶴さんの印象が薄めだったかなーという。
 
前作でもうちょっと大人の余裕を見せてほしかった紫鶴さんですが、今回は何か凄く落ち着いて見えました。
まあ、所構わずがっつく鷺澤君の後にプレイしたからかも知れぬ。
 
それは置いておくとして、今作の紫鶴さんに私が求めている「大人の余裕」を感じたかというとそうでもないのですが、この余裕があるんだかないんだか分からない飄々とした感じが、「汀紫鶴」というキャラクターなんだろうな、と感じたところでございます。
 
シナリオ本筋については、あくまで私にとってはですが、あまり引き込まれるところはなかったです。
現代日本人としては、反政府活動家の鵠居さんが掲げる「アナーキズム」やら「革命」やら「プロレタリア独裁」の末路が大体どんなもんか分かり切っているわけで。
どうしても鵠居さん達を冷めた目で見てしまうというか、悪役の論理にも「一理あるな」と思わせるところがないと、「どうなるんだろう、登場人物はどういう選択をするんだろう」というわくわく感が薄れるんだなーと思った次第。
 
夏祭りイベントで、紫鶴さんのなじみの芸者さん達が言った「汀先生は撫子柄の金魚にご執心」という台詞が、何だか凄くセンスがあるなと思いました。無粋ながら補足すると、「撫子柄の金魚」=「撫子柄の浴衣を着たツグミちゃん」です。
ツグミちゃんも、そんな小粋な姐さん方と接し慣れている紫鶴さんが、自分のどこを好いているんだろう……みたいにちょっと落ち込んでしまいます。その後も、紫鶴さんの本心が分からず不安になるツグミちゃんが描かれており、この辺は「帝都幻惑綺譚」と同じ感じだなーと思いました。
後者は状況が状況な部分もありますが、前者のあたりは、(一応)大正の文壇の作家先生らしいエピソードかなと。作家の恋人であるならば、このぐらいのことは動ぜず受け止めなければならないんじゃないのツグミちゃん……て感じでしょうか。(作家に対する偏見)
 
ラストのあたりで、鵠居さんの本当の目的が判明するわけですが、あまりの小物ぶりにびっくりした……
かつて反政府活動で一世を風靡したことにより日本にいられなくなった鵠居さんが、フランスで何やかややっている間に、日本では鵜飼政権が発足し、自由に言論・出版活動が出来るようになったとのこと。
鵠居さんはそのことに一定の評価をしつつも、その「自由に言論・出版活動が出来る世の中」を作り上げたのが自分ではなく鵜飼父であったことが不満で、再度政府転覆を狙ったらしいです。
 
悪役だからしょうがないんでしょうけども、そんな理由で大勢巻き込んで、人を傷つけたり殺したり(しかも鵠居さんの思想を慕って集まってきた人とかを)したって、あまりにも志が低いなーと思ってしまいました。
 
ツグミちゃんは、上でもちょっと書きましたが、前作と同じ感じの「紫鶴さんを信じたいけど信じ切れない」もやもやを抱えていたりもしまして、その辺はあまり成長してないなあと感じました。
ですが、それ以外の点については、朱鷺宮さんへの報告・連絡・相談がきちんと出来ていたり、杙梛さんのきわどい冗談を華麗にスルーしていたりと、これまでの翡翠・鷺澤ルートと同じく成長して下さったと思います。
 
それだけに、ラスト前、鵠居さんの恋人・秋沙に脅されてのこのこついて行ってしまったところが残念でならない……
ツグミちゃんが鵠居さん達の手に落ちれば、どう転んでも状況が悪くなるだけですし、どうしてもついて行かなければならなかったとしても、あの状況なら十分杙梛さんにSOS出せるじゃろう。
「帝都幻惑綺譚」の滉ルートを思い出す残念さでした。
 
紫鶴さん、ツグミちゃんとのデート中に遭遇したヒタキ君と3人で食事をしている際、ヒタキ君に、「君は彼女の血のつながった弟なんだから」とか露骨に牽制しておりまして、他の人のルートと違って、紫鶴さんはヒタキ君にツグミちゃんとの交際歓迎されてる立場なのに、大人げない&余裕ないなあ……と思っていたんですが。
エピローグでの姉弟いちゃいちゃっぷり(そしてそれを真顔で見ている紫鶴さん)を見て納得しました……こりゃ紫鶴さんも牽制したくなるわ……
ツグミちゃんはヒタキ君のわがままぶりについて、よく「私が甘やかしすぎたせい」と言っていますが、自虐とかではなく、本当に本気でその通りですね! と言いたい。


ヒタキ君、(無意識かもしれませんが)絶対わざと幼く振る舞ってるじゃろ……
15歳男子の言動じゃないよ、あれ……

 
あと、同じくエピローグで、紫鶴さんが将来の夢として、縁側のある一軒家で平和にのんびり暮らしたいみたいなことを言っていて、「作家なのにそんな普通の夢……!?」と思ってしまった。作家に対する偏見がひどくてすみません……