kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

ニル・アドミラリの天秤 クロユリ炎陽譚 感想7(クロユリ)

個別ルート感想

感想6からの続きです。

クロユリルート

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ストーリーは、連続自殺事件の謎を追うフクロウの皆さんと、前作真犯人氏への瞋恚に燃える今作真犯人氏の物理的心理的攻防 みたいな感じでした。
 
プレイ後の感想は、「それで納得しちゃうの真犯人」(ハッピーエンド)です。……なんか前作???ルートの感想とかぶる……
あとは、「隼人が気の毒」(恋愛面)とか。
 
前作からの流れとしては、???ルートから引き続きの時空ということのようです。
ですので、ツグミちゃんがルート冒頭で、前作での隼人の告白にお断りを入れたことは大変良かったと思います。
いや、私は隼人贔屓の人間なので、隼人とくっついてくれた方が嬉しいことは嬉しいんですが、告白宙ぶらりんのままにされるよりは何倍も良いと思う。
……前作???ルートが隼人投げっぱなしのまま大団円的なエンディングを迎えたせいで、物凄ーく評価のハードルが下がっておりますよ(前よりマシ、という意味で)
 
とはいえ、ルート中、ツグミちゃんがちょくちょく隼人に気があるっぽい言動をするので、そして結局くっつかないので、隼人が気の毒になりました。
???ルート時空とはいえ、???ルートそのものが隼人ルートからの分岐(しかも二人が結構いい感じになった後の分岐)だからしょうがないんでしょうけども。くっつく気がないんなら、隼人をきちんと解放してやってくれよ、ツグミちゃん。隼人はツグミちゃんがいなくても自力で幸せになれる人間なんだからさあ(また言ってる)
 
恋愛面では、ツグミちゃんに矢印が向きまくってて、「……もういい……」という気持ちになりました。逆ハーは勘弁してください。
上記の通り、隼人ルートから分岐の流れが残っているので、より一層隼人が可哀想になります。???ルートを独立にしてくれてさえいれば……
 
このクロユリルートはツグミちゃんの恋愛沙汰が主題ではないと思うんですが、前作の事件の影響で、「自分は恋愛する資格がない」みたいに思い詰めたツグミちゃんが、フクロウの皆さんとクロユリ事件を追っていく中で、頑なな心を解していくのがサブテーマだったんだろうと思います。
それも(隼人贔屓の私の目には)隼人の影響が大きかったように見えて、でも隼人との未来については、特に明示的なものはないところが(略)
いや、分かってますよ、隼人ルート二つ作るわけにいかないもんね! これは仕方のないことなのだ。
 
で、この思い詰めツグミちゃんが、正直うざかっ(自重)
クロユリ」全ルートのツグミちゃんの中で一番アレだったかも知れませんです。
おかしいなー、「帝都幻惑綺譚」では、隼人ルートツグミちゃんより???ルートツグミちゃんの方が好感持てたんですが。
他のルートのツグミちゃんは、前作の事件を通して成長していましたが、このルートのツグミちゃんは、前作の事件にとらわれて停滞している感じですね。まあ社会人としてはある程度成長していたと思いますが。
他ルートでは前作と今作の間でスキップされたツグミちゃんの人間的な成長を、クロユリルートできちんと描いたということでしょうか。

ツグミちゃんが最終的に、「それでも私は真犯人を救う」と自らの道を思い定めたところは良かったです。
自ら自覚的に横暴で残酷な聖女たることを選んだということですよね。
こういう、綺麗事を言い、行うことで生じる正負の影響を全て飲み込んだ上で、それでも綺麗事を言い、行い続けるという、覚悟を持った聖女は好きです。
イラッとする聖女と結構微妙なラインの違いではありますが、クロユリツグミちゃんには、是非とも今回の事件を通じて得た覚悟を、今後も持ち続けていただきたい。

 

ストーリー的には、連続自殺事件の犯人を追うのがメインなわけですが。
この世界の警察は……無能なのかな……? 鵜飼ルートの時にも思いましたが。
フクロウの皆さんどころか一学生(鵜飼君と鷺澤君と仲間達)の手に頼らないと、連続自殺事件の手がかりになる集会の存在を掴めないとか、ないでしょ……?
それに真犯人氏を絶対捕まえられるだろうという状況で逃げられるし……
 
というか、稀モノ絡みじゃないのに、なぜフクロウの皆さんはメインでこの事件の捜査することになったんでしたっけ?
すわ印刷の洋装本が稀モノになったか!?(なってない)という状況の流れだったような気はしますけども、稀モノじゃないって分かった時点で警察に委ねるべき案件じゃないでしょうか。
このルートに限らず、フクロウの皆さんは、何でそんなに管轄外の事件の捜査をしたがるんだ……フクロウじゃなくて警察に入ればいい。
 
「帝都幻惑綺譚」をプレイした結果、「稀モノと『若きウェルテルの悩み』の違いが分からない」という感想を持ちましたが、クロユリルートの事件はもろ『若きウェルテルの悩み』でしたね。
まあ事件の真相は『ウェルテル』でさえなく、単なる洗脳でしたけども。
 
まあ、松岡禎丞さんの演技がたくさん聞けたので、全体的には満足です。後半、鵺野さんが失踪した後は出番が少なくなって残念でした……そりゃ失踪してるんだから当然なんですが。
クロユリルートの冒頭で、暗転状態のまま真犯人氏が何やかんや言うシーンがあるんですが、ポンコツ耳でも誰の台詞か分かったので、私の松岡さん好き加減も捨てたもんじゃないなと思いました。まあ、制作サイドも特に隠す意図はなかったんでしょうが。
 
ツグミちゃんが鵺野さんに初回拉致られた時、鵺野さんから勧められたキャラメルに薬が仕込まれていた! ということで、滉ルートの「よその男からキャラメルもらうな」が伏線になっていて笑いました。滉ルートツグミちゃんは未開封の品でなければもらわないそうですが、クロユリツグミちゃん無防備すぎるぜ。
 
で、その初回拉致時、鵺野さんがツグミちゃんの(つまりプレイヤーの)周りを回っているように聞こえたんですが、あそこだけダミーヘッドマイク録音だったんでしょうか? それとも左右の出力の調整とか何かであんな感じの聞こえ方になるんでしょうかね?
 
ハッピーエンドは、弟のせいで圧死の危機となったツグミちゃんを、鵺野さんがうっかり助けてしまう……つまり聖女ツグミちゃんの魅力+説教力? に屈したという感じでした。
あれだけ復讐の意志が固かったのに、そんなんで諦めてしまっていいのかね。
まあ、本当は止めてもらいたがってるみたいな話もあったので、それが伏線だったんでしょうか? 紫鶴さんの個人的見解にしか聞こえなかったので、個人的には伏線と呼びたくはないんですが。
 
鵺野さんは、前作の真犯人・隠さんに感じたような気持ち悪さは感じなかったです。
多分、子供時代でストップした心を引きずって、ある意味無邪気に犯行を行っていた隠さんと違って、鵺野さんは自分が何をやっているのか理解し、それが何の意味もないことも理解した上で、それでも復讐せざるを得ないという状態だったからでしょう。
あと、ツグミちゃんがあほみたいにかばい立てしなかったからですね。
隼人ルート派生時空にもかかわらず、隼人贔屓の私が、「これ別に鵺野さんとくっついてもいいな……」と思ってしまうぐらい、鵺野さんはなんか好きなキャラでした。
鵺野さんバッドエンドはなかなか良かった。でも、隼人が気の毒すぎる……
 
クロユリ」全体のプロローグで意味深に匂わされていたヒタキ君の「悩み」がサイコキネシスで、物凄く意表を突かれました。
そっち!? そっちはノーマークでしたなー……てっきりもっと内面的なドロドロした「悩み」だと思っていたよ……
でも、その設定が効果的に使われたようにはあまり思えませんでした。
鵺野さんとの最後の対決シーンのためだけの設定みたいに思えてしまった。対決シーンも、サイコキネシス設定もうちょっとうまく使えたんじゃないかなあ……
 
ヒタキ君自身も、前作の事件を通じて全く成長していなかったのに驚きました。十五歳男子の言動じゃないだろ、あれ……
前作で、良い娘さん(姉以外の)と出逢って更生してほしいという感想を持ちましたが、撤回しておく。ヒタキ君を更生させられるほどの良い娘さんがこれに引っかかってしまうのは可哀想だ……
 
ストーリーにも恋愛面にも関係ありませんが、ちょっと気になったのは、鵜飼父が自らのことを「国家の長」と表現したことですね。
総理大臣ごときが、(一応)大正時代に、さすがにそれはねーだろ……