kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚 感想2(鷺澤累、尾崎隼人)

個別ルート感想

感想1からの続きです。

鷺澤累(cv:櫻井孝宏

帝大医学部の学生で、帝都を騒がす学生組織「カグツチ」のリーダー。攻略制限ありで、当初から攻略可の4名をクリアした後に攻略可能。

カグツチのリーダーは僕だよ、とご親切にもツグミちゃんに教えてくれるまでは好きでした。出てくるたびに怪しげな雰囲気を醸し出してたので、いつ「君はいい情報源だった」とか言い出されるのかわくわくしていた。精神的にも安定して見えたし。
が、正体告白後は不安定すぎてなあ。カグツチメンバーの皆さんがちょっとかわいそうに思えてしまいました。

カグツチの目的は、稀モノの危険性を知らしめ、世の中から稀モノをなくすこと。
そのために、夜な夜な本を持っている人を襲ってその本を奪い、その場で火をつける、という活動をしているそうです。
色々理由つけてはいましたが、どうも私には彼らの活動の意味が分からなかった。
本気で稀モノの被害を(物理的手段を用いてでも)なくしたいなら、ちまちま個人襲っていないで、図書館とか書店を襲撃したり、閉鎖に追い込むような活動をするべきでは? 結局襲いやすいところ、失敗したところであんまり自分たちが痛手を被らないところを襲っているようにしか見えないんですよね。それが君達の正義なのか? と問いたい。

ツグミちゃんもツグミちゃんで、なぜか鷺澤君の家に同居? 同棲? 軟禁? 状態になるんですが、一緒にお風呂入ってる場合じゃねーだろ。何で「稀モノになり得るのは手書きの和綴じ本のみだから、それ以外の本を燃やすのは無意味」ってことを教えてあげないんですか。
まあ、それを言わせないために、鷺澤君ルートの冒頭で「今までに発見された稀モノは『手書きの和綴じ本』のみだけど、それ以外の本が稀モノにならないと確定したわけではない」っていう話を入れたんでしょうけれども。
それを言っちゃうと、「書店に手書きの和綴じ本が入荷したら稀モノでないかどうかを調べる」というフクロウの活動内容も無意味になっちゃうんですけどね?

あと、明らかに犯罪行為(強盗傷害放火)してるのに、鷺澤君が罪に問われないのはどうかと思います。彼のためにもよろしくないと思うんだよ。

前述の通り、ツグミちゃんがなぜか鷺澤君と一緒に暮らすことになるんですが、本当に心から「何やってんの?」と言いたくなりました。クビにしないフクロウは優しいな(っていうか)

恋愛面で良かったところは、ツグミちゃんがカグツチ入りするルートで、鷺澤君がツグミちゃんを巻き込んだことを後悔してぐだぐだベッドシーン繰り広げるシーンがあるんですが、そこは良かったと思う。あくまでも現実逃避の表現として良かったという意味で、普通に見たら「今更何やってんだ君ら……」て感じですが。

尾崎隼人(cv:梶裕貴

フクロウ実働部隊のリーダー的存在。空気が読めない。攻略制限ありで、鷺澤君クリア後に攻略可能。
キャラとしては大好きなのですが、シナリオにものすごく不満があるため、長文になります。

他者ルートのときから輝いていたけど(多分贔屓目込み)、本人ルートでも精神が揺るぎなく安定していて、すごくまっとうで強い人でした。ゆえにシナリオのアレさが可哀想で。

まず言いたいのは、攻略制限のせいで鷺澤君→隼人の順番は確定なのに、二人ともツグミちゃんに「一目惚れ」というのはどうかと思う。二回目(隼人)は絶対に「またかよ!」と思われるに決まってるじゃないか……
まあ、そこはともかく。隼人とツグミちゃんの恋愛面のあれこれは良かった。隼人は他の攻略対象の皆さんと違って聖女のカウンセリング不要なので、攻略しているというか、ツグミちゃんが攻略されてる感じでしたが。それもまたよし。
びっくりしたり照れたりすると隼人相手に敬語になっちゃうツグミちゃんがかわいい。ツグミちゃんをかわいいと思えたのは滉ルートの「私も月に行ってみたい」以来である。まああっちは(バカで)カワイイなあ……というニュアンスでしたけれども。

隼人がツグミちゃんに告白後、答えもらう前に、背後から抱き込んで首にチューするシーンがあります。恋人でもない娘さんにそんなことしたら普通はどう考えてもセクハラなんですが、この場合はツグミちゃんが嫌がっていないのでセクハラ(性的嫌がらせ)ではないよな……と思いました。そして嫌がられないと分かっててやってる(だろう)ところがまた隼人のニクいところ。
そういうことをやりつつ、付き合っているわけではないので嫉妬する権利がないこと、それでも???氏に嫉妬していることをツグミちゃんにこれまた敬語で伝える隼人は、余裕があっていいなあと思いました。
というかこれですよ。この感じが当初紫鶴さんに求めてた大人の余裕ですよ。ここで出会えるとは。

で、不満のシナリオですが。隼人ルートでは、これまでのカラスがらみではなく、ツグミちゃんの弟ヒタキ君が焼身自殺未遂を起こした原因の稀モノがメインの事件になります。
この稀モノの作者たる真犯人氏のルートが隼人のルートから分岐することになるため、ツグミちゃんと真犯人氏の交流も本人ルートの攻略対象ばりに入ってきて、「ねえこれ隼人ルートだよね!?」となることがしばしば。
ツグミちゃんもいらんこと真犯人氏に言ったりする上、ちょっと真犯人氏にきついこと言われたら怯えて悩むだけだから、ものすごくツグミちゃんへの印象が悪くなりました。

そして、真犯人氏の正体がばれた後、ヒタキ君が真犯人氏に人質に取られ、指定された場所(確か山荘だったような)に、指定された時間に、ツグミちゃん一人で向かうように要求されるわけですが。
色んなことが気になって気になってもう。たとえば、

  1. 場所が分かっているのに、何でわざわざ時間守って、準備万端整えられた罠にはまりに行くようなまねをするのか。
  2. 何らかの理由で時間を守らなくてはならないとしても、何でバカ正直にツグミちゃんを一人で行かせるのか。(近くまではフクロウと警察の皆さんがついて行くにしても。)相手は真犯人氏一人なんだから、絶対に死角は生じるはずですよね。何か策を講じる余地は十分にあると思うんですが。隼人も、指定時間までツグミちゃんを慰めて励ますだけなんですけど、彼の性格なら率先して作戦とか考えそうだけどなあ……と思ってしまう。
  3. なんかものすごい監視体制が張り巡らされていて、どうしてもツグミちゃん一人で時間ぴったりに行くしかないとしても、相手の武器は火だと分かってるんだから、対策は可能なはず。何でやらないのか。水かぶって行くなり濡らしたシーツとか持って行くなり、お手軽にできるんですから、せめてその程度はするべきだと思うんですよねえ。

しかも最後に解決するのは隼人の説教力という……なんか隼人の見せ場風に描かれてましたけど、隼人が言ったのって要するに「久世がこんなにおまえのこと思ってるんだから、こんなことするな!」ってだけですからね……それ以上の理屈は特にない。
ご本尊(ツグミちゃん)の説得に応じなかったのに、嫌っている隼人に言われると改心しちゃう真犯人氏の心が私には分かりません。それとも隼人の説教力がハイレベルすぎてうっかり納得しちゃうとかそういうことでしょうか。
大企業の跡取り(?)息子としては、あると便利でしょうね、そんなハイレベル説教力。

一番隼人のまっとうさを感じたのは、バッドエンドでした。真犯人かもと目されていた???氏をひたすらかばいまくってたツグミちゃんに、隼人は「おまえに何かあったら真犯人ブッコロ!(意訳)」と言ってたんですが、実際にツグミちゃんに大けが負わせた真犯人氏を、隼人はブッコロさずにきちんと司法の手に委ねたんですよね。
当たり前のことではあるんですが、まっとうで前向きな精神を保ちつつ当たり前のことができるというのは、攻略対象の中では彼だけだろうな、と。他の攻略対象だったらブッコロ! を実行するか、壊れるか病むかしそうなところだと思います。

それだけに、彼は自らのまっとうさのせいで損をすることも多いんだろうな、という気がします。正直、こんな好男子がツグミちゃんに引っかかっちゃったところが(自重)
でも、乙女ゲープレイヤーが言うことじゃないかもしれませんが、隼人はツグミちゃん以外とでも自力でちゃんと幸せになれると思うんだ……

こんなに文句言いつつ、続編? FD? もプレイ予定なのですが、やる理由の大部分は隼人にまともな本人ルートで幸せになってもらいたいがためである。
あとシステムボイスがアレな滉の先行きが心配だから。

ところであまり声優さんには詳しくないんですが、隼人の特徴的な喋り方は役作りなんですかね? それとも声優さんの個人的な癖なんでしょうか?