kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

剣が君 for V 感想5(鈴懸)

個別ルート感想

感想4からの続きです。

鈴懸(cv:逢坂良太

イメージ 1
妖怪に囲まれて妖怪に育てられた少年。左京さんと並んで攻略対象最年少ですが、こちらは素直に「少年」と表現できるんですよねー。左京さんは全く「少年」感がない。

雰囲気に反して腕が立ち、医術の心得がある上になんだか瞬間移動的な「術」が使え、動物と話ができる。その上幼い頃から天下五剣の一振り・数珠丸を授かる運命にあり、実際拾った数珠丸ですぐに常夜の門を閉じられるという恐ろしいチートキャラです。

よく言えば天使、悪く言うと無知系天然お花畑、ですかね……

香夜ちゃんが共通ルートで運んだ数珠丸がここに収まるという形なので、もしかしたら「剣が君」という作品全体の締めとしては、鈴懸を最後に持ってきても良かったのかなー、と思ったり思わなかったり。

共通ルート終盤で、一番好感度が高い攻略対象が一行のリーダーになるのですが、自分でそう仕向けておきながら、香夜ちゃんが鈴懸をリーダーに選んだときは「香夜ちゃん正気か……」と思ってしまいました。そんな天使です。

鈴懸のシナリオは、「やりたいこと探し」のために山から下りてきた彼が、江戸庶民向けの医療体制を改善しようとしたり、人間と妖怪の架け橋になろうとしたりする感じでした。

半妖とかなのかな、と思っていましたが普通に人間でしたね。

和魂エンド(君ルート)

朝倉氏の陰謀を叩き潰し、拾った数珠丸であっさり常夜の門を閉じた鈴懸は、長七郎を自宅にかくまうことに。ですがそのことが幕府にばれ、江戸にいられなくなります。香夜ちゃんを残して長七郎や江戸近辺で暮らせなくなった妖怪たちとともに高尾山に帰ります。その後、鈴懸は香夜ちゃんと一緒にいたいと迎えに来、二人は長七郎と妖怪たちとともに高尾山で暮らすのでした、という話。

あれ、このエンドで数珠丸どうなったんでしたっけ? 覚えてない……
物語回想見直してみましたが、肝心なところが省かれておる……

鈴懸ルートでは神威というライバルが出てきます。神威君は尊敬する師匠が鈴懸をべた褒めしまくるもんで嫉妬から道を踏み外してしまうんですが、正直凡人としては鈴懸より神威君に感情移入してしまう感じでした。ほら、鈴懸は天使だから。嫉妬するだけ無駄なんですよね。というか、玄庵センセー天然なの? 自分の弟子の精神状態ぐらいちゃんと把握してあげてくださいよ。

君ルートで良かったのは、鈴懸の嫉妬ですね。
九十九丸が香夜ちゃんの店で使用人として働くことになるんですが、鈴懸は九十九丸に嫉妬し、そのせいで心がきれいな人間にしか見えない木霊が見えなくなってしまいます。
これが大人になるということなんだよ、君もようやく天上のお花畑をふわふわする天使から地上の人間になったんだね、と感慨深い気持ちでいたのも束の間、香夜ちゃんと気持ちが通じた瞬間に木霊見えるようになってた……また天使に逆戻りかね。

あと、九十九丸が仕事がよくできる上に超気の利く良い男です。鈴懸の嫉妬を察して香夜ちゃんと一緒に稽古しようと誘ってくれたり、さりげなく席を外して二人きりにしてくれたり。もうこの辺から九十九丸ルートが楽しみで仕方なかったです。すまん、鈴懸……

和魂エンドで、鈴懸は一体何を成し遂げたんでしょうね。
医療体制改善はもちろん、妖怪と人間を仲良く暮らせるようにすることもできず高尾山に帰る……「帰る」の前に「逃げ」をつけてもいいような印象です。
嫁を連れ帰ったこと? 本当にそれぐらいでは……
幸せそうではあるんですけどねえ……そもそも鈴懸が何のために高尾山を下りたのかと考えると、あんまり良い結末でもないような。

後日談で香夜ちゃんが肩出しへそ出し衣装になっててびっくりしました。江戸初期の普通の町民の女性として抵抗ないの? ミニスカ袴を常用してるぐらいだからないか……

幸魂エンド(君ルート)

幕府に追われる長七郎を、鈴懸は自分の育ての親の天狗・カルラに預けることに。ついでに、妖怪を封印する力を持つ刀を世に出しておきたくない、自分が幕府に罰せられても構わない、とカルラに数珠丸を預けます。その後、鈴懸は御前試合の辞退を申し出に行き、なぜかボコボコにされ、いつの間にか改心した神威君が手当てをしてくれます。鈴懸は低収入層向けの診療所を経営しながら、香夜ちゃんとともに江戸で暮らしていくことにしたのでした、という話でした。

君も低収入層向けで代金は別にいいよ! かね……天使鈴懸らしいけど、経費と生活費どうするんですか。

このエンドは、非常に当たり障りないというか、幸せに暮らしていくんだよ、という温かな気持ちになりました。

数珠丸は鈴懸を主に選んではいますけど、勝手に預けちゃうのどうなんだろう。天下五剣の大本の所有権は幕府にあるんですよね?

それと、御前試合、他のキャラも結構辞退してるのに、何で鈴懸だけボコボコにされたんでしょう。あと神威君がいつ、なぜ改心したのか全く不明です。

まあ、当初鈴懸が御前試合に参加する目的だった、江戸庶民向けの医療体制の改善に貢献できてるんで、和魂よりは大分納得できるエンドでした。

荒魂エンド(剣ルート)

朝倉氏の陰謀を叩き潰した後、拾った数珠丸を鈴懸は幕府に返します。御前試合決勝戦、縁さんとの戦いを制し、一番刀になった鈴懸ですが、実彰さんに勝たないと納得できないともう一戦することに。そして実彰さんにも勝利した鈴懸は、晴れて一番刀として数珠丸を授かり、家光公の懐刀として人間と妖怪が仲良く暮らせるよう働くことになるのでした、という話。

剣ルートでは、神威君が鈴懸を御前試合棄権させるため、香夜ちゃんを人質に取るエピソードがあります。鈴懸が助けに入り、ボコられた神威君は我に返って改心し、自分を鍛え直す旅に出るのですが、幸魂のいつの間に改心したか分からん神威君より、こっちの方が分かりやすくて良かったです。

数珠丸に主に選ばれるのはこちらも同じですが、ちゃんと幕府に返上するのがいいですね。和はちょっと覚えてないんですが、数珠丸を借りパクせずにきちんと返すの、他の3エンドの中で荒魂エンドだけなんですよね。

縁さんは安定の他者ルート縁さんで格好良かったんですが、その後実彰さん戦が行われるので、明らかにかませで可哀想でした。というか、縁さんどうして御前試合に出てるんでしょう? 縁さんが決勝まで勝ち残ることは何ら不思議ではありませんが、そもそも出場する理由がないよね?

あと、鈴懸、実彰さんに勝つほど強かったですかね? 螢さんルートで「オマエの剣は試合向きじゃない」とか言われてたと思うんですが、それでもなお剣聖に勝つほど強いんですか? 本人ルート補正が効いてるとはいえ、どんなチートだ……

一番刀になったあと、大名などから挨拶されるシーンで不安そうな鈴懸のスチルがあり、これ、天使鈴懸が人間社会のあれこれしがらみになじめず病んじゃうパターンなのでは、とちょっと心配になりました。が、鈴懸の天使力をなめていたらしく、その辺は全く心配ないようで。それに、家光公が色々フォローしてあげてるんでしょう、多分。

史実の家光公はアレなので、鈴懸とのツーショット見ると、絵面的にちょっと鈴懸の身が心配になるような……いや、この家光公は日の本の家光公ですからね。問題なぞあるわけありませんよね。

家光公の懐刀になった鈴懸は忙しすぎて香夜ちゃんとあまり会えなくなってしまいますが、例の瞬間移動術を使って毎晩会いに来るよ、てな感じになります。
ていうか、結婚しちゃえばいいんじゃないの? 鈴懸は現在江戸城に部屋をもらってるみたいですが、所帯持てばさすがに城下に家持ったりしますよね。幕府に仕官するともれなく家に帰れなくなるわけじゃないでしょうし。懐刀職が特別ブラックなのかもしれませんが。

奇魂エンド(剣ルート)

御前試合の決勝戦当日、江戸の町に妖怪の群れが攻め込んできます。縁さんが指揮を執って応戦しますが、鈴懸は話し合いで説得しようと妖怪たちの前に立ちます。懐に持っていた数珠丸を投げ捨て、戦う意思がないことを示した鈴懸に、一度は撤退する雰囲気になる妖怪たちですが、一匹が「だまされるんじゃない」と気勢を上げ、再び妖怪たちは江戸城に攻め込もうとします。それを防ごうと人間側が放った矢から妖怪をかばい、鈴懸は命を落とすのでした、という話でした。

命を以て争いを鎮めるというのは王道パターンですよね。なんか聖女っぽい。つまり天使=鈴懸=聖女……あんまり違和感ないですね。

ええと、そういう感じであまりにも王道なのでこれといった感想が浮かばないのですが、天下五剣の扱いひどいぞ、とは思いました。投げ捨てられた数珠丸は確かお堀にポチャンといってしまったはずなので、あとで堀さらいさせられる人たちは大変でしょうねー。

あとは、鈴懸の命を奪った矢を放つよう命令したのは縁さんなので、縁さんの精神的ダメージが心配です。縁さん、繊細だからな―。(炸裂する縁さん贔屓)


ということで

各エンドの感想でした。
個人的に良かった順は、荒>幸>奇>和 かなー、と思います。

鈴懸は、共通ルートで特に剣に思うところがあるような描写がなかったので、剣か君かと言われてもちょっとピンとこなかったです。医療か妖怪と仲良くか、の方がそれっぽい。

なのに、剣の神様が数珠丸を持って日の本を救う運命だ、とわざわざ予言したり、幼少期、五剣を持ってもいないのに「神降ろし」のしるしが出たりと、恐ろしい五剣適性の高さですからね。あれだけ苦悩した縁さんが可哀想になります。

鈴懸が数珠丸を持って日の本を救うって、結局何だったんでしょうね? 朝倉氏の陰謀を叩き潰したことでしょうか。