kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

剣が君 for V 感想6(九十九丸)

個別ルート感想

感想5からの続きです。いよいよ大トリにして大本命。ゆえに長文です。

九十九丸(cv:小野友樹

イメージ 1

漆黒の着物に真っ白い顔色、15歳ぐらいに見える(香夜ちゃん他の証言)けど実年齢20歳。いつも腹ぺこで大食い、古くなったものを食べようが毒を盛られようがへっちゃらという驚異の丈夫さを持つ。特技は野宿だそうです。


1周目の印象は、「メインヒーローの割に影が薄いな」でした。性格的には若干天然気味で優しく素直、とごく普通なので、超絶個性的な他の面子に埋もれがちな上、共通ルートの選択肢を他者全振りにすると、輝くのがほぼ食べ物絡みのシーンだけになってしまうんですよね。

ですが周回を重ねるうち、九十九丸のごく普通の性格と、共通ルートや他者ルートで示唆される、彼を取り巻く不穏な空気のコンビネーションの虜になっていったのでありました。

まあ、これだけ濃い攻略対象の中、メインヒーローが単なるごく普通のいい子なわけないですよねー。
本人ルート中盤で明かされることですが、九十九丸は五年前に一度死んでおり、反魂呪によって蘇らされ、今は半分マレビトの力を借りて生きている状態なのでした。

九十九丸全振りの共通ルート、不穏さとかわいさ真面目さが遺憾なく発揮されており、大変良かったです。
共通のイベントでも、九十九丸の特性が表れて、他の攻略対象の皆さんのときとはちょっと違う味付けになっていました。たとえば、他のメンバーだと力量や性格、価値観を表すためという意味が強いイベントだったのが、九十九丸の場合はかなり直接的に(彼の正体を示す)伏線になっている、という具合で。

これは伏線ではなく九十九丸自身の性格の面で萌え転がっただけのイベントですが、共通ルートで、香夜ちゃんの寝所を攻略対象が警護するイベントがあります。
他のメンバーだと、緊張や恐怖で眠れない香夜ちゃんに対して、向かい合って手を握るわ、隣り合って座って肩にもたれさせるわ、部屋に入り込んで肩もむわ、あげく部屋の外に連れ出すわと結構好き勝手やっているんですが、九十九丸はふすま越しに背中合わせで会話するだけなんですぜ、メインヒーローなのに! 顔合わせるのも最初だけ、もちろん指一本触れず。同一イベントだからこそ攻略対象ごとの性格が出るなあと思いました。

それと、共通ルート終盤のリーダー選択のときも、九十九丸は「俺が選ばれるとは思いませんでした」とかおっしゃる。そのレベルの話することあるんだ!? と驚きました。他のキャラは選ばれたこと云々には全く触れず、これからどう対応するかというところがスタート地点だったため、こう、ゲームシステムレベルの話でその辺には触れないことにしているのかと思っていたので。(自分で書いていて「これじゃ驚きポイント分からんだろ」という自覚はあります。)
これは各キャラの性格というよりは、ライターさんのさじ加減の問題なんだろうか。

共通ルート終盤、香夜ちゃんが山賊にさらわれるイベント、他の攻略対象は結構余裕を持って山賊の相手をしているんですが、九十九丸のときだけボコボコにされます。メインヒーローなのに九十九丸Oh...と思ってしまいました。薄々分かってはいるのですが、九十九丸、他のメンバーより一段弱く描写されてるよね……これにも理由があるんですけどね……!
まあ、このイベントではマレビト力発現のためにボコられる必要があったんですが。
そして九十九丸ルートでだけ自分が偽物の姫だとゲロる香夜ちゃん……この発言が後々九十九丸の足を引っ張ることになろうとは。

で、九十九丸ルートですが、剣と己自身にどのように向き合うか、というストーリーでした。
ちょいちょい九十九丸のハイスペックさ(縁さんと別の意味で)を示すエピソードがあって、こりゃ香夜ちゃんが惚れるのも納得だわ、と。

鈴懸ルートの感想で、鈴懸最後にしてもいいかも、と書きましたが、それは物語の構造上の理屈的な話であって、素直に感覚で言うと、やっぱり九十九丸最後がベストかと。

今回はちょっと変則的に、和→奇→幸→荒 の順で進めました。
が、ちょっと失敗したかなと思わないでもない。

和魂エンド(君ルート)

徐々に体調が悪化し、ついに御前試合で倒れてしまった九十九丸は、自分がすでに死んでいること、今は半分マレビトの力で生かされていることを知ります。
苦悩する九十九丸は、御前試合を辞退し、自分に何が起こったのか知るべく、遠野に帰ることに。九十九丸を一人にはさせられないと香夜ちゃんも同行し、故郷に到着した二人は九十九丸の剣の師匠から、五年前に起こった出来事を聞かされます。
折しも江戸の孔魔壇では朝倉氏らによる反魂呪が執り行われ、その余波が遠野の黄泉路・蓮台野に及びます。九十九丸は自ら生け贄になることを選び、常夜の門を閉じるのでした。
香夜ちゃんは江戸に帰りますが、九十九丸を思うあまり衰弱し、命を落としてしまいます。香夜ちゃんの魂が蓮台野へと飛ぶと、そこには大人の姿になった九十九丸が。九十九丸は香夜ちゃんがもう生きられないことを知ると、「常夜へようこそ、これからはずっと俺が一緒にいます」と微笑むのでした、という話でした。

なんかもう、初回から後頭部殴り飛ばされたような衝撃を受けました。
和魂エンドが好みすぎて。
融合ネタ大好きなんですごめん、つづらん!

師匠無駄死にしてるし、九十九丸の願いは「お嬢さん(香夜ちゃん)と一緒にいたい」以外これっぽっちも叶ってないということは分かってるんですけど、それでも大好きだ……ラスト(後日談ではなく本編)のスチルを思わずVITAの背景に設定しちゃったぐらいには大好きです。
「剣が君」という作品が本格的に好きになったのは、多分このエンドを見てからです。
ゲスプレイヤーで本当に申し訳ない。

剣/君分岐前については、仕事も気遣いもでき、真面目で香夜ちゃんに対して過保護でひたむきに剣の道をたどろうとする九十九丸の姿が描かれるのですが、香夜ちゃんが九十九丸の身を心配するため、九十九丸は「もう御前試合には出ない」と言います。
しかしやはり諦めきれず、こっそり出場を続け……という流れになるのですが、この辺の心理描写が不足しているんじゃないかな、と思います。
九十九丸が嘘をついて御前試合に出場した理由について、台詞で語りはするんですが、どうもすっと入ってこないんですよね。あれほど一番刀になりたがっていた九十九丸が、怪我を心配されたぐらいで「出ない」と言うとはとても思えない。香夜ちゃんも「どうしても心配で心配でたまらない、出場は絶対やめてほしい」みたいなレベルで心配していた風でもないですし。

それに、「出ない」と言った直後に「すまない、お嬢さん」と呟いてるんで、九十九丸は自覚的に嘘をついたということになります(よね?)。このことと説明された理由がかみ合わないという問題もあります。
この辺が個人的には九十九丸ルートにおける一番の残念ポイントでした。二番目は幸魂エンドのある点なのですが、これは幸魂の方で。

君ルートでは九十九丸が御前試合を辞退するんですが、その理由は直前の鈴懸戦の勝利がマレビトの力によるものだから、こんな勝ち方では納得できない、ということでした。
君ルート(剣の道ではなく君とともに在る道を選んだ)であるにもかかわらず、剣の道を歩む者としてのプライドを持ち続けているのが九十九丸らしくてとても良かったです。

そして香夜ちゃんもアグレッシブでとてもよろしい。エピローグとかではなくシナリオ中に江戸を離れるの、九十九丸君ルートだけですよね。

奥州街道の道中で「皺だらけのじいさんとばあさんになっても、俺はキミを姫と呼んでやる」というシーンはあまりの萌えに震え上がった……
それと、香夜ちゃんが、もう雇用関係じゃないからお嬢さん呼びと敬語をやめてほしいと言ったため、九十九丸が名前で呼んだら香夜ちゃんが照れてしまったとき、「もうしばらくお嬢さんと呼んだ方がいいと思う。その、お互いのためにも」と言う九十九丸には、ほんともう勘弁してください、いやもっとやれ、とちょっと頭が混乱を来しました。
香夜ちゃんに対する気遣いと自分の気持ちアピールの両方を、直接的な言葉を使わずさりげなくこなすという、なんかすごく高度な台詞ですよね!
遠野時代女っ気なくて香夜ちゃんに対しても二十歳とは思えないうぶな反応してたくせに、高等テクニック駆使しすぎじゃろう。
「九十九丸ってさ、自然に掻っ攫っていくのうまいよな!(by縁)」うん、本当にそうだね、縁さん……

感想ブログさんで、君なのに剣よりアレみたいなご意見を見た気がしたので、辻斬りサッキョさんが児戯に見えるようなひどいエンドなのかと警戒してたため、エンディング流れる手前までの展開はちょっと拍子抜けでした。師匠無駄死にしてますが。
が、エピローグで、この時点では明言されていませんが、マレビトと融合してしまった九十九丸が現れた瞬間にめちゃくちゃテンション上がりました。
九十九丸、死後の世界に行っていないし、瞳は黒から青に変化してるし、マレビトに奪われていた五年分の時間を取り戻した=年相応の姿になってるし、かといって人格はマレビトじゃなくて九十九丸ベースみたいだし、こりゃ融合に違いあるまい、と。

しかしこの融合九十九丸はめちゃくちゃ美人です。女性的なわけではないけれど、格好いいというよりは美人と表現したい。

和魂エンドは、本編エピローグできれいにまとまったと思うので、後日談は別になくても良かったかなーと思いました。
が、あればあったで、九十九丸の自己認識の状況が知れたし、やっぱり融合だということが確定したり、でも意識は九十九丸優勢だということが分かったりしたので、やはり読めて良かったなあと。(どっちだ)
「俺だけを見て、俺の声だけを聴けばいい」は、融合したマレビトの言葉なのか、それとも孤独な常夜の空気に毒されて出てきた九十九丸の本音なのでしょうか。

この後日談で一点不安なのは、なんか香夜ちゃんの意識がボケボケっぽいところでしょうか。香夜ちゃんには、自分で選択して九十九丸の側にいてほしいと思うので。

奇魂エンド(剣ルート)

自分の現状を知った九十九丸は苦悩しますが、やはり剣の道を諦めることは出来ず、香夜ちゃんの制止を振り切って御前試合に出場し続けることを決めます。
そんな時、天海大僧正から日の本中の霊場を回り、体に経文を刻むとマレビトの力を抑えられるという情報が。九十九丸は御前試合が終わったらマレビトを封じる旅に出ることを決意。
御前試合準決勝、九十九丸は対戦相手の斬鉄に偽姫=香夜ちゃんのことを持ち出され、劣勢に。意識を失った九十九丸はマレビトに自分を受け入れろと言われます。一度は断るも、このまま死んだら香夜ちゃんは九十九丸のことを忘れると言われ、マレビトの力を受け入れてしまいます。斬鉄戦は九十九丸が勝利。しかし一番刀とは認められず。
九十九丸は香夜ちゃんに、マレビトの力を封じるためではなく、使いこなすための旅に出ると告げるのでした、という話でした。

いや、うん。
確かに融合ネタ大好きだって申しました。
正直、「九十九丸は初めてマレビトの半身としての自分を受け入れた」って地の文にちょっとテンション上がりかけました。
自分で選んで受け入れるというのがまたツボなんですよね。和魂は自ら選んでの融合ではないですし。

しかし。しかしです。これ、受け入れるっていうか、もう手を取ったその瞬間に飲み込まれてるじゃないですか……
斬鉄の首を一刀の下にかっ飛ばして(もちろん物理的に)、ニッコニコって、九十九丸が九十九丸だったらあり得ないですよ。
九十九丸は活人剣の田宮流居合を誇りに思ってたじゃないですかあアアア!

という感じで、テンションが上がりきる前にものすごい勢いで落とされました……

君ルートでは御前試合を辞退した九十九丸ですが、剣ルートではマレビトの力を身に宿しながら試合に出続けてはいけないと思いながらも、どうしても試合を辞退することが出来ません。
君ルートの決断も剣ルートの葛藤も、どちらも九十九丸らしくて理解出来るなと思います。
君の決断に葛藤がなかったわけではないでしょうし、剣の葛藤には「自分の力で勝ったのではない」という思いが付きまとっているわけですから。

試合を重ねるごとにマレビトに侵食されていくのを自覚しつつも辞退出来ないというのは、業が深いなあというかそれだけ剣の道に魅せられているんだなあというか。

ところで、九十九丸、準々決勝と決勝を戦った描写がないんですけど。
「今日は準々決勝の日ね」という日に香夜ちゃんと一緒に伯父さんの畑にいましたし。
準決勝の斬鉄戦後、九十九丸は優勝したけど斬鉄戦で神聖なる御前試合をあまりに汚したので一番刀にはなれなかった、みたいな説明が出ましたし。
不戦勝? 対戦相手が辞退したとか?
それとも描写がなかっただけで戦ったんでしょうかね。少なくとも斬鉄戦後は滅多斬りにされてて戦える状態じゃなかったんじゃないかと思いますが。

あと、滅多切りになって戻ってきた九十九丸が香夜ちゃんに月光を浴びさせてくれるよう頼んだのもちょっと疑問でした。
乱れた気を整える(=マレビトの支配力を弱める)には月光を浴びるのがいいということなんですが(九十九丸の特技・野宿がここで活かされています)、マレビトを受け入れた九十九丸が頼むのはおかしくないですかね。
しかも大怪我してますし、マレビトの力解放しとかないと死ぬんじゃ?(もう死んでるけど)

本編エピローグで香夜ちゃんが「九十九丸はいつまで人でいられるだろう」と考えるんですが、正直、もうとっくに人じゃないと思う……

それにしても、マレビト様は九十九丸の弱味をよくご存知ですね。
お手軽に手に入る力<香夜ちゃん という。中でも、死ねば香夜ちゃんにとっては過去になり、いつか忘れ去られるという部分がきっとクリティカルヒットだったんだろうなあという気がします。
和魂エンドでも「九十九丸という男がいたことを忘れないでくれ」って言ってましたもんね。
さすが九十九丸の半身。

後日談は、九十九丸がマレビトの力を使いこなす旅に出て数年、香夜ちゃんの元に戻ってきたよ! という話でした。
料理茶屋潰すわ(経済的に)、香夜ちゃんの体調崩させるわ、マレビト力が存分に発揮されていて本当息苦しい。

最後の最後、香夜ちゃんを手にかける前に九十九丸の中でわずかに残った九十九丸の部分が自ら死を選ぶのですが、それは愛する香夜ちゃんを守るためであり、マレビトに飲み込まれた自分を止めてけじめをつけるため。
そしてその手段が刀だったのは、もちろんそれが一番手近で確実な自害の方法だからなのでしょう。
しかし、本来の九十九丸が、己の弱さのために踏み外してしまった剣の道を、これで再び自分の元に取り戻せたのかも知れないとも思いました。

サッキョさんに続いて、死亡エンドが2つのキャラが……
しかも本編で生存エンドだったのに後日談で死ぬのこれだけですよ。
個人的には悪くない死に方だと思いますが(生きてた方が死ぬよりヒドい状況ですし)、後日談の最後の最後でお亡くなりになるからその後のフォローが全くない。こういうスパッとした表現も好きですが……香夜ちゃん、強く生きるんだ!

幸魂エンド(君ルート)

遠野で蓮台野の異変に遭遇した九十九丸と香夜ちゃん。マレビトに操られた九十九丸は香夜ちゃんとともに常夜の門をくぐります。そこには大人の姿の九十九丸=マレビトが。
香夜ちゃんの危機に自我を取り戻した九十九丸は、マレビトが傷つくと半身たる自分も傷つく状況下、マレビトに立ち向かいます。止めようとする香夜ちゃんに、俺が食い止めるからキミは行けと言う九十九丸ですが、香夜ちゃんは九十九丸を残していくことはできないと手を引いて一緒に逃げ出します。
門をくぐる際に意識を失ってしまった香夜ちゃん。蓮台野で目覚め、慌てて九十九丸の姿を探す香夜ちゃんですが、そこには大人の姿の九十九丸が。驚く香夜ちゃんですが、九十九丸は、マレビトが命と時間を返してくれたと微笑むのでした。
二人は江戸に帰り、九十九丸は料理茶屋の若旦那として、香夜ちゃんと香夜父と幸せに暮らすのでした。めでたしめでたし、という話でした。

婿入りエンドを見るのは2回目でした(1回目は実彰さん)(螢さん感想でも書いたな)
九十九丸も香夜ちゃんを上回るほどの(香夜父談)料理上手です。料理男子は強いよね……

何だろう、融合九十九丸はめちゃくちゃ美人と感じたのですが、九十九丸100%のこちらはそれほどでも……ないような……?(個人の感想です)
目の色と表情ですかねえ……確かに融合九十九丸みたいな明るい青の目、すごく好みなんですよね……

奥さんな香夜ちゃんが髪をちゃんと結い上げていたのが好印象でした。(顔の両脇に垂らしてるのは、まあイラスト的に仕方ない)
茶屋の給仕やってるのに、ハーフアップで長い髪をそのまま垂らしてるのがずっと気になっていたんですよ。
薙刀のお稽古のときの、片側に寄せたポニーテールの方がまだマシじゃね? と思ったり。
代わりに九十九丸の髪が気になった……ミニマムつづらんな頃に比べて伸びてるし、一応後ろでまとめてはいるんですが、結構くせっ毛な感じだからか、すごく、こう、少なくとも厨房に立つ髪型ではないよな、と。

二人で常夜に連れ去られた後、九十九丸が戦って命を勝ち取る展開は大変熱くて良かったです。
でも、マレビトが九十九丸に命を還してくれたところは、台詞で説明するだけじゃなくてちゃんと描写してほしかったです。そこが一番燃えるシーンでしょうに。
今のままだと軽すぎるというか、九十九丸は「五年前からずっと一緒の半身だから、きっと分かってくれたと信じている」みたいに言ってましたが、マレビト様がそんな物分かりのいいひとだと納得できるエピソードがどこにもないですよ?
奇魂エンドの後だから特にそう思うのかも知れませんが。

あ、もしや。なぜかマレビト様が香夜ちゃんを嫁に欲しがってたんですが、あれは半身たる九十九丸の気持ちに同調してた、つまりマレビトは九十九丸の気持ちが分かる、という伏線だったのでしょうか。

そういえば、和魂で九十九丸と融合したときも、神様なんですから人間の意識なんて簡単に飲み込めるでしょうに、「九十九丸が」、自分はマレビトと融合してしまった、と思考できてるんですよね。
マレビトが控えめなのか、それだけ九十九丸側に同調してしまっている(マレビトとしてのアイデンティティーが薄くなっている)のか。

君ルートのマレビトは剣ルートのマレビトとはちょっと違うのかも知れませんね。
香夜ちゃんの(君ルート側の選択肢の)言葉が、九十九丸を通じて半身たるマレビトにも影響を及ぼしたということでしょうか。
だとしたらスゲエな香夜ちゃん……

九十九丸ルートで一番残念だったポイントは和魂のところで書きましたが、二番目は幸魂の本編ラスト、幸せそうに料理してる九十九丸、あなたですよ。
せっかく100%人間として生き返れたというのに、あんなにこだわってた剣の道はどうした?
もう戦闘中の感情の高ぶりでマレビトに乗っ取られるリスクはなくなりましたし、ネックだった成長できないが故の体重・筋力等の不足も解消され、もう大手を振って剣を握れるはずですよね?

攻略対象6名の中で、純粋に剣が目的なのって九十九丸だけだと思います。他の5名は他の目的のための手段として剣がある感じですよね。(本人ルートプレイするまでは螢さんも剣が目的なのかと思っておりましたが、結果はあのありさま)
だから、他ならぬ九十九丸が剣の道を諦めるなら、きちんとその理由を描いてほしかったよ……
御前試合を辞退する理由も剣へのプライドという九十九丸であればこそ、ものすごく残念な取り扱いでした。

和魂? あれは剣どころじゃないんで、気にしません(贔屓)

いや、幸せそうなのは大変結構なんですけどね。九十九丸の抱える問題が(ほぼ)解消されるの、このエンドだけですし。

後日談はいきなり五年分成長した九十九丸に対する護衛仲間の皆さんの反応が見られて良かったです。他の皆さんと並ぶと、九十九丸、すごくビッグ(物理)になってる……? ミニマムだった頃は確か……と思って公式サイト見たら、約168センチ? 意外と大きかった。香夜ちゃんよりちょっと大きいぐらいのイメージだったんですけど、鈴懸と同じらしいですね。これ、成長後はどれくらいになってるんだろう……

というか、本編の翌春という時間軸らしいんですが、ビッグつづらんになってから護衛の皆さん、江戸にいるのに一回も会わなかったのか……特に縁さん、香夜ちゃんの料理茶屋に通い詰めてそうなイメージだけどなあ……

荒魂エンド(剣ルート)

御前試合の対斬鉄戦で、九十九丸はマレビトの力を抑えるために身動きが取れないまま、斬鉄に滅多斬りにされてしまいます。
香夜ちゃんは最期を看取るため、と江戸城に呼ばれます。意識がなく、今にも死にそうな九十九丸に、香夜ちゃんは天海大僧正にもらった不思議水を口移しで飲ませ、諦めちゃだめ、と呼びかけます。
一方九十九丸は、常夜で妖怪の群れと戦っていました。果ての見えない戦いの中、九十九丸は力尽き諦めかけますが、香夜ちゃんの声が届きます。九十九丸は再び立ち上がり、最後まで戦い抜くことができたのでした。
復活した九十九丸は、マレビトの力を封じるための霊場巡りに旅立ちます。いつも携える無銘の愛刀に、香夜ちゃんの名をもらって――という話でした。

良かったです。
和魂は私の好みにぴったりだったからという偏った良さでしたが、荒魂は正統派に良かったと思います。

他の攻略対象はご大層な銘の剣を持っているのに、九十九丸だけ無銘って何だ……東北差別か……と思っていたのですが、そんなことなくて良かった!
タイトル回収のためだったんですね。良かった、メインヒーローらしい理由で。
「剣が君」を今まではさらっと平坦気味に読んでたんですが、これからは「剣がキミ」って脳内再生してしまう……別にそう変わらないですが。

完全に荒魂エンドのエピソードに入ってから選択肢があったんですが、あれは何だったんでしょう。
しかも正解の選択肢が「マレビトの力があれば……」(御前試合でも九十九丸は大丈夫)なんですけど……香夜ちゃん何考えてんのと真面目に思った。
マレビトの力を受け入れる奇魂エンドならともかく、封じる荒魂エンドの選択肢とは思えないです。

御前試合、香夜ちゃんが東海道で自分は偽物だと言っちゃったせいで斬鉄に脅され、そのせいで(そのためだけではないんでしょうが)暴走しかけて身動き取れなくなり、そのまま切り刻まれてノックアウトな九十九丸が可哀想すぎる。奇みたいなアレは論外にせよ、なんかこう、一矢報いさせてくれませんかね。

斬鉄を成敗してくれた柳生さんがひたすら格好いい。さすが柳生十兵衛ですね。ところでどうして柳生さんは御前試合に出ないんでしょう。剣術指南役だから? まあ、きっと何か設定があるんでしょう。多分。

御前試合の鈴懸戦後に倒れたときも思いましたが、九十九丸は寝顔が本当に美少女顔ですねー。

幸魂のときも思いましたが、戦って命を勝ち取る展開は本当にいいですね。
尻すぼみでうやむやになってしまった幸魂と違って、荒魂は、香夜ちゃんの声援と不思議水(ちゃんとした名前がついていましたが、漢字変換が面倒なためこう書いときます)の手助けありとはいえ、最後まで戦いきっていますし。
荒魂はなんか、マレビトの影が薄いですね。御前試合でしばしば九十九丸の体を乗っ取ったりマレビト力で侵食したりはしていますが、他のエンドみたいに九十九丸の半身というか別人格としての現れ方はしなかったような。

九十九丸ルートの前半に、香夜ちゃんと二人、荒れ寺のお堂の中で雨宿りをし、九十九丸は香夜ちゃんの肩を抱いて「お嬢さんの身体を温めさせてください」と言うシーンがあります。
荒魂エンドにも似たような構図のスチルが出てくるので(「剣がキミ」のシーン)、対比してるのかなあと思いました。前者は今後の不穏さ、後者は希望と決意という感じで。
雨宿りのときは、「君、温められるの?」と思いましたが、あの時は九十九丸、体温ない自覚なかったんですね。

しかし、出立前夜の「泣いてくれないと、俺が寂しいじゃないか」「お嬢さんが泣いたんじゃない、俺が泣かせたんだ。だから泣いたうちには入らない」は、女たらしの台詞じゃないですかね……
これまで九十九丸の心が剣にだけ向いてて良かったですね……君ルートのあれこれといい、さもなくばファッション遊び人の縁さんなんか目じゃない感じになってたんじゃないでしょうか、これ。

後日談は、霊場巡りに旅立った九十九丸が帰ってくるよ! という話でした。
霊場巡りって、一年かからないんですね。結構悲壮な覚悟で旅立つみたいな雰囲気だったので、何年もかかるのかと思っておりましたが。何カ所ぐらい回ったんでしょう。奇魂エンドの修行の旅は数年かかったらしいんですけども。

マレビト様が声だけご出演されてました。九十九丸が誘惑に乗らず、窮地を自力で切り抜けられて良かったです。……普通の感想ですね。でも奇のことを思うと、普通は尊いですよ。

九十九丸はマレビトの封印に成功しましたけど、成長はストップしたままですし、封印も一生有効というわけではないようですし(天海大僧正談)、再会した二人は幸せそうでしたが、問題が全て解消されたわけではないですよね。だがそこがいい(ゲスプレイヤーの意見)
このあたりは、やっぱり、幸魂は幸せな状況なんだろうなあ、と。

ところで体に経文を刻むって、九十九丸は耳なし芳一状態になってるんでしょうか……

ということで

各エンドの感想でした。
個人的に良かった順は、和=荒>幸>奇 ですかね。和と荒は本当甲乙つけがたいです。

和魂エンドがあんなに好みドストライクとは思わず、最初にプレイしたのはちょっと失敗だったかな、と思います。和魂のインパクトを引きずって以降のエンドもプレイしてしまった感があります。
荒魂も好きなんですけど、インパクト的な意味では及ばすで。
それと、幸魂で残念ポイントを挙げてしまいましたが、こういう「きちんと幸せ」なエンドがあるからこそ、和魂とか荒魂みたいな問題が残ったエンドでも楽しめるんでしょうね。

ところで、マレビトってひとりしかいないんでしょうか?
九十九丸ルートをプレイするまでは、常夜には「マレビト」というカテゴリーの神が複数棲んでいるんだろうな、と思っていたのですが、九十九丸の中にいるマレビトは常夜でずっとひとりきりだったらしいんですよね。
ということは、縁さんが荒魂エンドで戦ったマレビトとか、香夜ちゃんの夢によく(?)出てくるマレビトは何なんでしょう。

ちょっと考えてみたんですが、九十九丸の中にいるのも含めて、「マレビト」という一柱の神の派生的な存在ということでしょうかね。複数いるように見えても同一の存在というか。
となると、和魂の九十九丸と融合してしまったマレビトはどういうことになるんでしょう。和魂後日談的にマレビトの本体に近い感じを受けましたけど(気のせいかも知れませんが)、これからは融合九十九丸からの派生になる……の……? それとももう派生しないのでしょうか。

共通ルートで得体の知れなさNo.1の九十九丸でしたが、No.1の座を最後まで守りきってくれました。
No.2は鈴懸だったんですが、彼は単なる天使でしたね。

九十九丸、萌え転がらせてくれてありがとう!
大好きです!