kakinagu-l

主にプレイしたゲームの感想を備忘録的に書き殴ります。ネタバレに配慮ありません。

剣が君 for V 感想7(その他諸々)


感想6からの続きです。ようやく締め。

設定等感想

個別ルート感想を長々と書いてきましたが、誰のルートとも限らない全体のエピソードや設定についてもう少しだけ書きたいと思います。

1 朝倉氏は何を考えているのか問題

江戸城御前試合と並ぶ後章の軸として、全てのルートで関わってくる朝倉氏の陰謀(というほどでもない)ですが。

「にっくき家光めえ! 忠長様さえ生き返ればすぐに失脚させてくれるわああ!(意訳)」
と、家光公の実弟・忠長様を生き返らせるための反魂呪に執念を燃やしております。というのも、朝倉氏は忠長様の家臣で、その忠長様は家光公に自害を申し付けられたから、ということらしいです。

ええと、何で朝倉氏は、忠長様が生き返ればこっちのもん! みたいに思ってるんでしょうか。
そもそも兄は家光公、弟が忠長様で、将軍職にあるのも家光公ですよね。
それも忠長様が将軍だったのをクーデターやら謀略やらでひっくり返したというわけではなく、普通に長幼の序に従って嫡男の家光公が将軍になっただけの話なわけです。

まあ、史実……というか私の知識だと、両親に気に入られていたのは弟の国松(忠長様)で、竹千代(家光公)の地位を危ぶんだ春日局さんが家康公に直訴し、後継者宣言してもらった、というようなことだったと思うので、それが、朝倉氏視点だと、謀略といえば謀略なのかもしれませんが。

家康公で思い出しましたが、家光公と縁さんと水戸黄門様はみんな家康公の孫、つまり従兄弟同士なんですね!(どうでもいい)(というか縁さんと水戸黄門様は兄弟(推定)ですが)

「剣が君」で全く触れられていないそのあたりはともかく。
兄という立場か将軍職か、どちらかをもともと持っていたならともかく、両方ともない状態で忠長様が生き返っても、家光公の地位は全く揺らがないと思うんですが。

朝倉氏の妄執ゆえの狂気、なんですかねえ……
彼をそこまでさせる魅力や絆が忠長様にあったのか、それともそれすら朝倉氏の思い込みや妄執の中のものなのか。

サッキョさんも狂うならこんな感じが良かったなあ(個人的意見)
一見普通(?)っぽく振る舞ってるのに中身や行動が狂気的な方が、怖いと思うんですよね(個人的感想)

2 七重は本当にただの人間なのか問題

前章と後章の間で、朝倉氏達駿府勢が徳川サイドに追われている場面が出るんですが、追われる側に鼓&七重カップルがおりましてですね。
もちろん双方馬に乗っていて、かなりの速度で疾走しているわけです。
徳川サイドに捕まればひどい目に遭うでしょうし、捕まらなくても、うっかり落馬でもすれば大怪我間違いなし。

そんな状況で七重さんは言うわけです。
「鼓様、これが終わったらショッピングに付き合って下さいね(意訳)」

えっ、このネーチャン今の状況分かってないの? と思いました。
この浮き世離れ感、さては貴様、妖怪もしくは死人だな!? と思いましたとも。

隠れ家生活中、具合悪いような描写があったときは、正体バレの伏線来た! と思ったんです が。
その後特に何もないままフルコンしてしまった……(具合悪いような描写は別件の伏線でした)

えっ、本当にただの人間なんですか?
それであの浮き世離れ感?
ものすごいお花畑の住人ということでしょうか……
あの「ショッピングに付き合って下さいね」には何の意味があったんでしょう。

それとも恐怖を押し殺して明るく振る舞う健気さを表しているの……かも……?
だとしたら相当空回ってると言わざるを得ない。

3 お松ちゃんの普段着が香夜ちゃんよりよっぽど町娘っぽい問題

黒い襟の縞の着物。普通、時代劇でこういう格好しているの娘さんがいたら、「江戸の町娘」の記号だと思います。

武家娘で黒襟はない、と思うんですよね、私の感覚では。
この作品で、武家娘のお松ちゃんに黒襟の着物を着せたのはどういう意図があるんでしょうか。

町娘の香夜ちゃんが染めだか織りだか、きれいなグラデーションや花模様の入った着物を着ているので、黒襟(質素倹約)どうとかの世界観ではないんだな、と理解していたところにお松ちゃんの黒襟が来たのでちょっとびっくりしました。

まあ、軽く検索したところによると、町民女性の黒襟は江戸後期あたりらしいので、倹約令も出てない江戸初期には関係ない話なんですかね。

町民の黒襟とは関係なく、多分日の本の武家社会では黒襟が流行ってるんでしょう……きっと……

4 ミニスカ袴問題

私は「剣が君」をダウンロード版でプレイしたのですが、情報収集がテキトーなまま始めてしまったので、マニュアルのキャラ紹介ページの主人公を見て、「!?」となりました……

ミニスカ袴……脚の形丸出し……まさかそんな。

プレイ中は、テキスト欄脇のフェイスアイコンはもちろん、スチルでも、ミニスカ袴着用時の香夜ちゃん下半身が出てくることはほとんどなかったので、あまり思い出すことなく進められて、まあ良かったです。
その分、たまに出てきたときはOh...となりましたが。

香夜ちゃんの薙刀のお師匠様の、シンプルな髪型と道着がとても素敵でした。
……まさかお師匠様の袴もミニスカだったりしませんよね?

同じく螢さんの肩背中ガバーな服装も、「うーん……」となったんですが、まあ、江戸っ子は厚着すると野暮天扱いされる(と何かで見た気がする)し……と己を納得させていました。

しかしです。
共通ルートの男どもの入浴シーンで、一緒に風呂に入らない螢さんのことを、「背中に刺青でも入ってるんじゃないか」と縁さんが言っていたり。

御前試合の観戦は、女子供は推奨されていない、と言われたときに香夜ちゃんが「袴をはいていけば大丈夫」と言っていたり。

あっこれもしかして、「※イラストはイメージです。」かあ……!

本当に作中でイラスト通りの服装をしていたとしたら、出てくるはずのない台詞ですよね。
……ああ、そういえばこれで、「もしや縁さんは視力に障害があるんじゃ……」と疑ったんでした。これ以外にも縁さん、転ぶしぶつかるし舞台から転げ落ちるしでしたので。別になんともなかったみたいですが。

ということで、私は今後、螢さんのガバーも香夜ちゃんの露出度(ミニスカ袴に限らず)も、「これはイメージ画像であって、本当はちゃんとした着物着てるんだ……!」と思い込みながら生きていくことにします。

5 そもそもこの作品における「侍」の定義は問題

私の認識では、侍=武士=幕府や藩等に仕える役人もしくはそうした家の出身者、でしたので、6人の侍が香夜ちゃんを守るよ! ということになったとき、「えっ」と思ってしまいました。

浪人とはっきり言っている2人(実彰さん左京さん)や明らかにいいとこの坊ちゃんな人(縁さん)、生家や現在の身分をはっきり言っていない2人(九十九丸鈴懸)は、まあともかくです。

螢さん……岡っ引きは武士じゃない。あれ町人扱いですから。

その後ゲームを進めるうちに、九十九丸の実家が旅籠、つまり商人だと判明したり、鈴懸は、多分農民の出身なんだろな、ということが分かったりいたしまして。

実彰さん縁さん左京さんは名字帯刀の許された立場なので違和感はありません。
ですがそのほかの3名は、なぜ侍扱いなのか? そもそもなぜ帯刀が許されているのか?
プレイ中ずっと、そのことが気になって仕方ありませんでした。

テキストでも、「武家」と「侍」を使い分けてたり使い分けてなかったりでよく分かりませんでしたし。

日の本の「刀狩り」は日本の違って、人間ではなく鬼が対象なので、人間であれば帯刀が許されているのかなあ、とも思いました。で、帯刀していれば出身や現在の身分にかかわらず「侍」扱いなのかな、と。

でも、「相手が二本差しだからって……」というような、帯刀が特権であるからこその台詞があったような気がするんですよね(うろ覚え)

それに、「岡っ引きなのに帯刀しているのはおかしいんじゃない?」みたいなお松ちゃんの台詞に香夜ちゃんが「そうよね」と同意しているシーンがあったり(螢さんは……?)

と思っていたら、螢ルートで刀狩り令廃止のシーン、家光公が「ただし、刀を持つは人と同じく侍の身分であること」と……言っちゃった……
やはり日本と同じくこの世界でも、「刀を持つから侍」、なのではなく、「侍だから刀を持つ」、なのですね……

なんかもう、自分内理論の逃げ場がありません。
「侍の身分」て、どうやって得るんだよう……まさか御家人株を買え、ってわけじゃないんでしょうし……

最後に

なんか色々文句を言ってしまいましたが、非常に楽しくプレイできました。
リアルが忙しい時期で毎日プレイできなかったせいもあるんですが、フルコンプリートまでに1ヶ月以上かかってしまいましたよ。

恋愛ゲームであるはずなのに、攻略対象たちの生き様を見る方が楽しかったという。
まー、香夜ちゃんはいい子ですから、攻略対象が死のうが生きようが、恋愛が彼らの障害になることがあまりなかったということもあるんでしょうかね。

細かいところに疑問点が多くはありましたが(多分、私が、細かいことが気になる性分だからでしょう)、世界観にどっぷりはまれ、キャラにも萌え転がることができましたし、終わるのが惜しいと思えるゲームでした。
やって良かった!

最後に一応、好きな攻略対象キャラ順を……

九十九丸>縁>黒羽実彰>鷺原左京≧螢>鈴懸

左京さんと螢さんは不可分というか、表裏一体というか、とても迷うんですけど、左京さんの人間的な弱さとかサッキョさんの愉快さとかに一票入れました。